中国の習近平国家主席が広域経済構想「一帯一路」を提唱してから5年が経った。この間、中国は103の国・国際組織と118件の協力協議を締結し、欧州間の国際貨物列車の運行本数は累計1万本を超えた。化学企業にとってもアジア・太平洋地域でのビジネスを展開するうえで無視できない存在になりつつある。日本も第三国での経済協力などの枠組みを生かし、中国に透明性・開放性を要求したうえで成長市場の取り込みにつなげねばならない。
 8月末に北京で開かれた「一帯一路建設5周年座談会」で講話を行った習主席は過去5年を振り返り、中国の貿易や投資の自由度が飛躍的に高まったと胸を張った。一帯一路が中国だけのものでなく、参加を望むあらゆる国に扉を開き、自由主義を代表するプラットフォームである点も強調した。
 習主席は2013年9月7日にカザフスタンにおいて「シルクロード経済ベルト」を提起。翌月3日には東南アジア諸国連合(ASEAN)歴訪時に「21世紀海上シルクロード」を提唱し、以後「一帯一路」構想と呼ばれるようになった。
 18年上半期までの間、中国と沿線国との貿易額は累計5兆ドル(約560兆円)を超え、中国から沿線国への直接投資は700億ドル(約7兆8400億円)に上る。パキスタン経済回廊やラオス、タイ鉄道をはじめ、ハンガリー・セルビア鉄道の建設にも着手。国際貨物列車が中国と欧州15カ国43都市を結ぶまでにいたった。
 石油・化学業界にとって一帯一路の影響は見通しにくかったが、ここにきてBASFやエクソンモービルが華南に大型石化基地を設ける構想を打ち出し、一帯一路を通じたアジア地域へのアクセスへの期待が伺える。米中貿易摩擦が激化するなか、中国は一帯一路沿線国と関係強化に努めており、より踏み込んだビジネスも期待される。
 日中両政府は9月25日、第三国での経済協力を推進する官民合同委員会の初会合を北京で開いた。両国の関係改善を追い風に、第三国での経済協力を深めたい考え。両国は企業による共同投資案件の促進に向け、年内にも日中第三国市場協力フォーラムを設置する。10月下旬に予定される安倍晋三首相の訪中時に、具体的な協力プロジェクトを締結する方針だ。
 日本側は、こうした機会を通じ、中国に公平で透明性の高い市場づくりについてしっかりと注文をつけなければならない。それと同時に、民間企業が第三国市場でビジネスチャンスにいち早く食い込むための土壌整備も求められる。

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