大きな資金調達を計画しているベンチャー企業を相次いで取材する機会を得た。一つはウイルスベクターをコアとする企業。ウイルスを使った遺伝子治療は世界に2件しか承認を得ておらず、同社は国内初の承認獲得を中枢神経系疾患治療薬で目指している▼資金は開発速度を上げるための製造面での投資に必要なものだが、経営者は米国の機関投資家に期待する。日本のベンチャーキャピタルは当初から想定していない。10数億円という求める投資金額を検討できるところはないという。「技術を評価できる人がいない」と経営者は語る。評価できないからリスクはとれない。同社の治療は医師主導治験で治験対象者全てが症状を改善、しかも治療は治験の一回のみでその後は投薬などの治療が不要になっている▼もう一つは、金属と有機配位子を結合させた多孔質製品のベンチャー企業。応用分野は幅広く、一つは産業ガスの流通におけるサプライチェーンの非連続的革新を生み出す可能性が高い。開発資金として数億円の資金調達を計画しているが、「VCは想定しない」と経営者は言う。「VCは相場でしか判断しない」からだそうだ。ベンチャーの技術は尖っているものほど、一般的には変に見えるものもある。「変なもの」の可能性を見抜くのもバンカーの要素だ。(18・11・2)

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