「米中摩擦 世界経済リスク、制裁関税の応酬」の記事が1面トップに掲載された日曜付の読売新聞。その同じ紙面の左肩には、「日本の針路 『慎ましい大国』への転身」という寄稿が載っている。筆者は劇作家の山崎正和さんだ▼山崎さんは劇作家でありながら、『世界文明史の試み 神話と舞踊』など数々の文明論も著してきた。30年以上前1984年の『柔らかい個人主義の誕生』では、”生産的人間”から”消費的人間”への変化を予測したが、その後の社会の動きはその道筋をほぼたどってきたように見える。政治や経済、社会、科学技術だけでなく文学や演劇など芸術的観点も総合しながらの文明論が山崎さんの真骨頂である▼寄稿では、自国を偉大にすると叫ぶ米・朝、世界第2位の経済大国として周囲を睥睨する中国、そして国土が巨大で武力も強いロシアという「偉大な国家」に日本は囲まれているという。かつて日本もそのような「偉大さ」という幻想にとりつかれた時期があったが、いまは「慎ましい大国」として転身をはかりつつあるとの見方だ▼柔らかい個人主義といい、慎ましい大国といい、このなんとも奥深い表現は、日本人の”和の精神”につながるものであるように思う。強烈な自己主張が交錯する世界にあって、国のひとつの方向性を示すものとして注目したい。(18・6・20)

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