製品化に国の許可が必要となる「特別用途食品制度」のさらなる活用に向けた取り組みが動き出した。今月開かれた消費者庁の専門委員会では、病気に罹った人が安心して摂取できる「病者用食品」の扱いを議論した。現行の規格基準や表示制限では、多くの企業にとって許可を得る労力と費用をかけるだけの魅力に乏しい。見直しにより申請数が拡大し、質の高いセルフメディケーションの機会が増えることを期待したい。
 特別用途食品には特定保健用食品(トクホ)が含まれるが、同じ特別用途食品の範疇にある病者用食品は馴染みが薄い。ただ個別評価型の病者用食品で、脱水状態時に使える経口補水液「オーエスワン」(大塚製薬工場)は良く知られている。
 2015年6月に閣議決定した「規制改革実施計画」を踏まえて国が検討を重ね、今年4月から新たな特別用途食品制度が施行された。新制度は、介護で利用を想定し、とろみ調整用食品の明確な位置付けや「えん下困難者用食品」の表示内容変更などを盛り込んだ。病者用食品の対象として「その食品がなければ食事療法の実践・継続が困難な場合」を追加したほか、新たな許可区分の追加および既存許可基準の変更を行う場合の方法などが見直された。
 今回、専門委員会が議論したのは、病者用食品である総合栄養食品の許可基準の見直しや、新規許可区分の病者用食事セットの追加、個別評価型病者用食品に関する許可基準への要望など。制度改正が進んでも、いぜん病者用食品の設定基準は、ややニーズと離れており、制限事項も多い。許可基準型の総合栄養食品では、11年に森永乳業グループが流動食で第1号許可を得て以来5品しかない。
 そこで日本栄養・健康食品協会が委員会に要望を提出した。基準を病者の実態に合わせ「経口もしくは経管での摂取に適している」とすること、表示に関して使用者の誤認を減らすため「栄養成分の基準・標準範囲から外れた成分について増減量の調整を記載できる」ようにすること、栄養成分の基準・標準範囲は、元となる基準が古いため「最新基準にそった数値へ変更する」などの内容だ。また「弁当タイプの食品を腎臓病用・糖尿病用で新ジャンルに加えて欲しい」といったものもある。
 要介護の高齢者や生活習慣病患者が増えるなか、医療費の膨張を抑制にするには在宅医療の推進や疾患の予防、病状進行抑制のための施策が急務。要望にそって、ニーズに合った便利で質の良い、かつ情報提供がなされた製品を増やし、患者のQOL向上につなげてほしい。

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