経済産業省が石油精製、石油化学、電力など業種横断でプラントの運転保守サービスを提供する「総合O&M企業」の創出に向けた検討を進めている。同省はスマート保安を促す「スーパー認定事業所制度」を創設したり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じてIoT(モノのインターネット)を活用したプラント保全技術実証事業を行うなど、産業保安に関する取り組みを進めてきた。プラントの高経年化と団塊世代の大量退出にともない、産業保安は大きな曲がり角を迎えているが、総合O&M企業は、これを好機として新産業創造を目指す。今後、同様の課題が顕在化すると予想されるアジアや中東にも通用する解決策となり得るだろう。
 プラント保全は石油、石化など個社ベースで行われ、利益を生まない部門と認識されている。この機能を業界横断で統合し、エンジニアリングや計装も参加する総合O&M企業に移管。IoT、AI(人工知能)など先端技術を用いた保全サービスを提供することで、収益の見込まれる事業に転換しようというのが経産省の狙い。これにより石油や石化のプラントオーナーは製品開発など付加価値の高い部門に経営資源を集中できる。関係業界へのヒアリングによると、オペレーション機能をどこまで統合するかについては見解の相違はあったものの、総合O&M企業というコンセプトにはおおむね賛意が得られたという。
 コンビナートにおけるユーティリティの共通化などではドイツ、米国に先行事例がある。GEは、発電プラントでIoTを活用した保守サービスを展開しようとしている。日本企業でも東洋エンジニアリングがインドネシアの肥料プラントに対し、千代田化工建設はアブダビのLNG企業に対し、それぞれデジタル技術を用いた保守サービスを提供することを決めている。日揮も海外の石油精製に対し、同様のサービス提供に向けた検討を進めている。
 モノづくりにこだわりの強い日本企業は、設備の運転・保全機能を自社で行ってきた自負があり、外出しすることに抵抗感があるかもしれない。しかし、その分、運転・保全に関する膨大なデータの蓄積がある。この蓄積を基に構築する運転技術、保全技術は世界最高レベルとなる可能性がある。日本は世界に先んじてプラントの高経年化と保全要員の確保難に直面している。IoTなどの活用により、これら問題を乗り越えられれば海外市場にも活躍の場を求めることができよう。総合O&M企業について、さらに議論が深まることを期待したい。

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