国土交通省、経済産業省、農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動が着実に浸透している。国交省によると、運動の趣旨に賛同して自主行動宣言を提出した企業が9月末時点で卸売業、製造業など599社になった。今後、企業名の公表を予定している。荷主、物流業者など関係者の連携により従来の常識を超えた改革を進めることで、一段と働きやすく、生産性の高い物流の実現を目指す。
 ホワイト物流推進運動は、深刻化なトラック運転者の不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することが目的。①トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化②女性や60代以上の運転者なども働きやすい「ホワイト」な労働環境の実現-に取り組む。
 国民生活や企業活動に不可欠な物流の担い手であるトラックドライバー不足は一段と深刻化している。背景には、出荷元・納品先での待ち時間が長いことによる長時間労働や積み込み・積み降しなどの荷役作業の肉体的負担などがある。物流業界に従事するドライバーの1日当たりの平均労働時間は、荷待ちや付帯作業などが原因となって全産業と比べ2時間以上長く、賃金は逆に1~2割以上低いとの指摘もある。ドライバー不足からトラックを手配できず、貨物を運べないという事態も出始めているという。
 国交省はじめ3省は、運送業が直面するさまざまな経営環境の変化に対応するため今年3月以降、全業種の上場企業4000社および全国の第1・2・3次産業の売上高上位企業2300社の合計約6300社の代表者に対し、ホワイト物流推進運動への参加を要請する文書とパンフレットを直接送付した。9月末時点で自主行動宣言を提出した企業は599社と要請数の10%程度だが、卸売業、製造業を中心にトラックドライバー不足などに対する危機感は強く、今後とも賛同企業は増えることが予想される。
 物流業界の過重労働は構造的な問題ともいえる。業界全体の働き方改革を推進していくためには、荷主企業をはじめとした取引先との相互理解と協力による取引の適正化が不可欠であることは言うまでもない。
 ホワイト物流推進運動への参加により、業界の商習慣や業務プロセスの見直しによる生産性向上、物流効率化によるCO2排出量の削減、事業活動に必要な物流の安定的な確保、企業の社会的責任の遂行などの効果も期待できる。今後さらに多くの企業が参加し、中長期的な物流の安定化へ向けて取り組みが一段と加速するよう望みたい。

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