PETボトルを基軸に、東レが資源循環の新たな取り組みを推進しようとしている。このほど高品質なPETボトルリサイクル繊維の生産技術を開発し、ファッション、スポーツ用途などへ展開すると発表した。ターゲットとするのが1990年代後半から2000年代にかけて生まれた「ジェネレーションZ世代」。環境問題への意識が高く、SNSといった情報発信力にも長ける同世代に訴求することで、リサイクル活動の新たなムーブメントを巻き起こしたいという。
 単一素材で分別・回収が容易なPETボトルはリサイクルに向き、異物除去などリサイクル技術の進化を背景に再生用途も広がっている。飲料用ボトルや包装用フィルムをはじめ、付加価値がより高い用途で利用されるようになった。
 繊維は古くからある再生用途だが、従来技術では原料となる使用ずみPETボトルに混入した異物により高機能な繊維を作ることができず、色味も悪いことから、ファッションやスポーツ衣料など感性や機能性が求められる用途での利用が難しかった。新技術によって繊維用途の本格的な拡大が期待される。
 再生技術に加え、PETボトルリサイクル繊維であることを判別する技術を開発したこともポイント。スーパーなどでの店頭回収が行われているPETボトルは、リサイクル活動への参加意識を持ちやすいが、リサイクル繊維のトレーサビリティを確保できればこの意識はさらに増し、購買意欲も刺激する。
 ただ資源循環には課題が多く残されている。原料の質もその一つ。リサイクルの優等生とされるPETボトルでも、高品位な材料に再生できるのは、きちんと分別・回収されたボトルだけ。他のごみと一緒に廃棄され汚れがひどいボトルは対象とならない。自販機脇の専用回収ボックスに弁当などの容器や吸い殻などの異物が捨てられるケースも多く、材料へリサイクルする妨げとなっている。
 「混ぜればごみ、分ければ資源」という標語があるように循環型社会に分別は不可欠だが、リサイクル活動の持続性という意味では分別の手間とコストをいかに減らすかも重要だ。容器包装のモノマテリアル化だけでなく、サーマルやケミカルなど他の再資源化手法を上手く使っていかなければならない。資源の無駄を無くすという切り口でみれば、容器の中味である食品のロスについても考えなけばならず、安全・安心の視点で容器包装も役割を改めて考える必要がある。未来を担う「Z世代」には、より広い視点で議論して欲しい。

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