外部リスクがはらんで日本経済の先行きがはっきりしない。米中貿易戦争の余波で世界経済が減速傾向にあるなか、韓国輸出規制を巡った対立で日韓両国の産業界に与える影響も危惧される。米国によるイラン制裁の行方も日本にどう影響するか注意が必要だ。先行きが見通せないなか、企業は明確な方針が示せない状況が続いている。
 米中貿易摩擦に端を発した世界的な景気減速は、企業にとって大きなマイナスポイントとなった。各社は当初、今年度後半からの回復を予想する向きが多かったものの、現在ではしばらく我慢の期間との見方が大勢を占めている。
 さらに中国における環境規制は、ほとんどの原材料を同国から調達する日本企業にとって逆風だ。原料ソースの多様化を探るものの、確立したサプライチェーンを変えることはたやすいものではない。工業園区への規制で現地工場の稼働停止を余儀なくされている化学大手のトップは「今後どうなるか見通しがつかない」と溜息をもらす。
 外部要因を含めた不安が山積し、中小企業にとっても先行きへの懸念は大きい。日本政策金融公庫が行った全国中小企業動向調査(2019年4~6月期実績、7~9月期以降見通し)によると、原則従業員20人以上の中小企業の景況感は「弱い動きがみられるものの、緩やかに回復している」という判断を引き継いだ。ただ業況判断DIは前期から4・0ポイント低下のマイナス0・9で、前回見通しの3・0を下回った。7~9月はマイナス幅が縮小するものの、再び10~12月はマイナス2・0に低下すると見通した。とくに製造業の落ち込みが大きい。経営上の課題として「売上・受注の停滞、減少」が31・7%と最も多く、前回調査よりも3・5ポイント上昇。以下「求人難」30・3%、「原材料高」8・9%の順。
 原則従業員20人未満の小企業では、さらに深刻だ。景況感は「持ち直しの動きに足踏みがみられる」との判断を引き継ぎ、業況判断DIも1~3月から横ばいのマイナス26・0。しかし7~9月はマイナス幅が拡大してマイナス31・8を見通している。売上高DI、採算DIとも来期はマイナス幅が拡大する見通しだ。経営上の問題点は「売上不振」が41・3%と高く「利益減少」「求人難」と続く。
 先ごろの参院選では、年金制度や消費増税など国内の課題が争点になった。国として今後は山積する外交問題への対応も待ったなしの状況にある。外部情勢は企業の業績に直結するだけに、企業がしっかりとした方向性を示せるだけの環境を整えて欲しい。

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