政府による健康・医療戦略の一つとしてアフリカ健康構想の基本方針が決定した。日本が世界に誇るヘルスケアサービスをアフリカへ展開するべく、民間企業進出を支援する方針が盛り込まれている。構想は8月に横浜で開かれる第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で提示する。今後、アフリカの実情を踏まえた具体的なアプローチを検討するが、電力・水道・道路などのインフラが未整備である点や、感染症、栄養不良の問題など、ヘルスケア関連産業の育成には乗り越えるべき壁も多い。日本にとっては大きなチャレンジであり、長期的な視野に立った考えが必要である。ぜひアフリカとの経済的な相互連携強化につながるチャンスととらえて、オールジャパンで取り組んで欲しい。
 基本方針は6月に開いた政府の第24回健康・医療戦略推進本部で、2020年度からの次期健康・医療戦略で新たに取り組むべきこととして取り上げられた。現戦略でアジアの取り組みが進行中で、その経験を参考にアフリカへの展開を図ろうとしている。日本政府は主導してきたTICAD初回から、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標3にある「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成」推進を含む保健の取り組みを掲げてきたが、本腰を入れることになる。
 日本がアフリカに注目するのは、豊富な天然資源と人口増を背景に高い経済成長が期待でき、日本の得意なヘルスケア産業を普及する余地があるため。対象国はケニア、タンザニア、ウガンダなどが想定される。構想では「富士山型」のヘルスケアを全体イメージとして描く。上水・トイレ普及といった「健康な生活を支えるサービス」が下支えし、健診・予防・健康サービスや食事・栄養の提供など「ヘルスケアサービス」が中間に、そして頂点に高度医療を提供する「医療・介護」を乗せた3層構造となる。医師、看護師、臨床検査技師、栄養士、衛生士のような幅広い人材の育成、医薬品の製造・安全規制・物流や医療機器の製造・運用、維持管理。また、感染症予防・治療に関する日本の知見共有や、簡便で安価な診断キットなどの普及促進が検討に含まれる。
 アプローチとしては、まず公的セクターが活動し、民間事業の創出・育成を図る。その民間企業の成長によって公的セクターを支えるモデルを作り上げていく。ヘルスケア産業の育成には、基盤を成す公衆衛生・農業を含む民間の参加も欠かせない。社会貢献と産業戦略の両面からアフリカの発展を支える意気込みで臨んでもらいたい。

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