エンジニアリング協会が先ごろ、2020年度「エンジニアリング産業の実態と動向」(エンジ白書)をまとめた。19年度の合計受注高は、原油相場下落などでマイナス成長だったが、20年度は海外プラントが牽引してプラスに転じる見通し。一方でエンジ業界にとって人材不足はいぜん深刻。新型コロナウイルスの収束が見いだせないなかで各社、働き方改革をはじめ新規事業の育成などが引き続き重要な経営課題となりそうだ。
 エンジ白書は会員企業へのアンケート調査に基づいて作成。19年度の受注高は合計17兆4133億円(前期比8・6%減)と大幅ダウン。うち国内14兆2933億円(同6・4%減)、海外3兆1200億円(同17・3%減)と苦戦した。
 19年度のプラント・施設別市場動向をみると、全体の8割を占める国内は都市開発・地域開発が減少し、電力プラント・システムと交通インフラが増加している。海外は石油・ガスエネルギープラントが9割減、化学プラントが7割減と大幅なダウン。その要因として第4四半期の新型コロナによる世界経済の減速に加え、原油の供給過剰、暖冬による燃料需要の減少がある。その結果、顧客の設備投資計画が先送りされた。
 一方、20年度の受注見通しは合計17兆9000億円(同2・3%増)。うち国内受注は、14兆2000億円(同1%減)。鉄鋼・非鉄金属プラント、産業施設、環境衛生、海洋施設、鉄鋼構造施設で増加を見込む。都市開発・地域開発、電力プラント、通信プラントなどは前年割れとみた。
 20年度の海外受注は3兆7000億円(同17・2%増)とアップ。石油・ガスエネルギープラント、鉄鋼・非鉄金属プラント、化学プラントが増える。
 エンジ産業の課題については1位「労働力・人材の確保」、2位「新規事業の展開」、3位「研究・技術開発の強化」、4位「国内営業力の強化」、5位「リスクマネジメントの強化」という回答だった。上位3項目は前年と同じだが、国内営業力の強化や、人事・組織の活性化を重視する企業が増えている。新型コロナの影響によって内需への振り返りや、働き方に対する課題意識が高まっている。
 背景には国内外の業務量の増大にともなう社内リソースの逼迫や、社員高齢化を受け世代交代を図ろうとする動きがある。エンジ業界にとって今年は、競争力強化、収益拡大を支える有能な人材の確保などが求められる年となりそう。最先端のデジタル技術などを駆使し、新たな戦略思考を持って経営の舵取りを進めてほしい。

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