経済産業省が先週「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を公表した。排出されたCO2を燃料や原料として再び利用する「カーボンリサイクル」の実現に向け、エネルギーや製品ごとにコスト低減に向けた課題と目標を明確化した。日本発の概念で、あす15日から軽井沢で始まるG20エネルギー・環境大臣会合で世界に発信される。パリ協定の下、2050年に脱炭素社会を実現するには再生可能エネルギーの導入だけでなく、あらゆる選択肢を追求すべきというのが日本の立場。カーボンリサイクル技術も、その一つだ。
 政府は、温室効果ガス(GHG)の大幅削減に向けた長期的な戦略として「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を11日に閣議決定した。今世紀後半のできるだけ早期に「脱炭素社会」を実現することを目標に、50年までにGHGの80%削減に取り組む。
 7日に閣議決定した19年度版のエネルギー白書では、主要国の温室効果ガス削減(GHG)目標と進捗を整理した。日本は需要側のエネルギー消費効率が高いものの、エネルギーに起因するCO2排出量はOECD諸国のなかで平均以下となっており、発電にともなうCO2排出削減を強化することが重要だと分析している。
 発電の低炭素に向けて再生エネルギーの導入が急速に進んでいる。日本と国土面積が近いドイツ、ノルウェー、米カリフォルニア州と比較すると、日本は1600億キロワット時で、トップのドイツの1900億キロワット時に続く高水準にある。1平方キロメートル当たりの導入量は、すでに41万キロワット時と、これも54万キロワット時のドイツに続く。ただ電力需要が圧倒的に大きいため、再エネ比率は15%にとどまる。
 そこで日本が注目しているのがカーボンリサイクル技術だ。ロードマップでは、CO2を原料としたポリカーボネート(PC)やオレフィン、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)も取り上げられ、PCは30年まで、オレフィンとBTXは50年までに、化石燃料を原料とした既存品と同等のコストまで引き下げる。
 カーボンリサイクルに対しては「CO2排出量が多い石炭火力発電の延命策」との批判もある。その一方で石炭は廉価なため、この先も発電燃料として使い続ける新興国は少なくない。低炭素化で先行するフランスやドイツは、非化石電源比率の伸び悩みから、足元ではGHG排出削減の進捗がはかばかしくない。低炭素化を加速が求められなか、G20がカーボンリサイクルに、どのような評価を与えるかが注目される。

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