初期費用ゼロで太陽光発電が利用できるサービスが広がり始めている。再生可能エネルギーの利活用が求められる昨今、太陽光発電の普及につながる施策として「0円ソーラー」の取り組みを率直に評価したい。
 0円ソーラーとは、太陽電池(PV)メーカーなどが設備や設置費用を負担する代わりに、利用者が月々の電気料金や太陽光発電システムの利用料をセットで支払う仕組み。期間満了後には利用者にシステムが無償譲渡されることも大きな特徴といえる。以前、長期契約を条件に無料で携帯電話本体を提供していた「0円ケータイ」と同様の手法だ。
 同ビジネスは今年に入り、主要なPVメーカーが参入を表明している。日本市場で躍進著しいハンファQセルズやメーカー機能も有するエクソルなどが、東京電力グループのTEPCOホームテックと業務提携を結んだ。両社ともに住宅向けに0円ソーラーのサービスを開始している。太陽光発電や蓄電池、省エネ機器の組み合わせを推進していくという。
 製造業の基本は、あくまでもモノづくりにある。PVも例外ではないが、単にモノを売って稼ぐだけのビジネスでは成り立たなくなっている。その背景には中国のガリバー企業が存在する。圧倒的な生産量でコストダウンを実現したPV大手は、ここ数年で瞬く間に市場を席巻。世界需要は年約100ギガワットとされるが、大手4~5社で半分を賄えるだけの生産量を保有している。しかも、さらなる増強が計画され、トップ企業1社の生産量で、日本の2018年の総需要の2倍に達すると予想される。「価格面では到底太刀打ちできない」(日系PVメーカー幹部)のが現状だ。
 0円ソーラーの出現は、PVメーカーが、いわゆる「コト売りビジネス」に勝機を見出そうとする決意表明と見て取れるだろう。太陽光発電がもたらすエネルギーの自家消費は、度重なる震災でエネルギーの重要性を痛感した日本人にとって受け入れられやすい。しかも今後はIoT(モノのインターネット)技術を駆使したVPP(仮想発電所)の実用化で、エネルギーを融通し合える時代が目前にまで迫っている。
 0円ソーラーは、住宅用に止まるものではない。ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)などの取り組みを進める企業にとって、その支援策となるはずだ。エネルギーの自給自足と相互扶助を可能にする太陽光発電の有効性を、サービス側にはしっかりと、しかも多方面にアピール求してもらいたい。

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