プラント、航空、石油元売りなど16の企業により、持続可能な航空燃料SAF(サステナブル・アビエーション・フュエル)の国産商用化を目指す民間団体が先ごろ設立された。燃料のCO2フリー化の取り組みは各分野で盛んだが、航空燃料は期限を区切って導入目標を設けており、コストが高くとも普及が絶対の使命。SAFの開発で日本は必ずしも先行しているとはいえないが、アジア市場を取り込めるのならオールジャパンでサプライチェーン(SC)構築を進める意義はある。

 日揮ホールディングス、レボインターナショナル(京都市)、全日本空輸、日本航空は3月2日、有志団体「アクト・フォー・スカイ」を設立し、SAF普及に向けた取り組みを開始すると発表した。当初は16社が参加する。SAFは廃食用油、廃プラスチック、木質バイオマス、微細藻類など多様な原料ソースがある。それぞれ事業化を競う関係にあるが、新団体はカーボンニュートラルに関する啓発活動、SAF導入に向けた各国動向の共有、共通課題の抽出などを通じ、社会実装に向け理解を広げたい考えだ。

 SAFは、ジェット燃料に比べCO2排出量を80%削減できる。新エネルギー・総合技術開発機構(NEDO)は開発を主導し、各プロセスで製造したSAFをジェット燃料に混ぜ、実機による実証試験を成功させている。

 各プロセスとも原料の安定確保とコスト低減が今後の課題。廃油、廃プラを原料とするなら調達のネットワークが必要になり、藻の栽培には広い土地が不可欠だ。ジェット燃料並みの製造コストの実現は極めてハードルが高い。

 しかし、導入目標が設定されていることから開発の加速化が望めそうだ。国際民間航空機関(ICAO)は、2027年に航空各社にSAF導入を義務付ける。導入しない会社は国際線に乗り入れできなくなり、国際空港はSAFを供給する義務が生じる。米国は30年に10%、EUは5%以上の導入目標を設定しており日本政府も検討している。

 これはコストダウン以上に量の確保が優先されることを意味する。当面は運賃の値上げに反映されるだろうが、導入が広がれば量産によるコストダウンが見込める。

 全日空と日航が昨年発表した共同レポートによると、50年に日本が航空輸送でカーボンニュートラルを実現するには、SAFが最大2300万キロリットル必要という。またアジア市場は50年に22兆円に達すると見込まれる。日本が早期に社会実装を果たせば、日本企業が中心となった、原料調達から供給にいたるSAFのSC構築が視野に入る。

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