日本経済を取り巻く環境は急激に変化している。デジタル技術を活用し産業構造が変革する第4次産業革命の進展、グローバル化および、それに反動する保護主義的な動きの高まり、さらに国連の持続可能な開発目標(SDGs)など、国際社会が直面する社会的課題の解決に向けた取り組みが企業に求められるようになっている。
 一方でバブル経済崩壊以降、日本の製造業は成長率が低下。得意としていたコストパフォーマンス領域は新興国に侵食され続け、家電分野は中国、韓国勢が上位を占めるようになった。より高付加価値の領域では、ブランディング戦略を推進する欧米勢に対抗できず、苦戦している。“失われた20年”の後、自動車産業のおかげで横ばいを維持しているが、到来するCASEの時代は競争の激化が予想される。
 こうしたなかFA・ロボットシステムベンダー主導でスマートファクトリーの一貫提供を目指すコンソーシアム「Team Cross FA」(チームクロスFA)が発足した。工場の建設・運営・保守、ITシステム、人材派遣・教育を手がける大手企業も公式パートナーとして協力。ロボット工業会などの団体や省庁、自治体とも連携し、経済産業省が提唱する「コネクテッドインダストリーズ」の実現も目指している。
 スマートファクトリーのグランドデザインを固め、これを基にしてデジタル上の仮想工場を構築。シミュレーションを実行し、計画の確実性や費用対効果を検証するとともに、実際に工場を建設する前に検討することでプロジェクトを確実に推進できる。建設後も自律制御により最適化された工場運営を可能にし、市場環境の変化にも柔軟に対応し計画変更が可能だ。
 同コンソーシアムの幹事会社の一つであるFAプロダクツの天野眞也会長は「日本は部品点数が多く高度な生産技術が求められる製品を得意とし、エネルギー効率もトップで高度な生産の自働化技術や素材技術を持つが、これまでいち早く製品化し市場に出すという点で負けていた」と指摘する。スマートファクトリーにより、再び競争力を持てるとし、工場自体を産業化して海外に提供することも視野に入れる。ロボット技術とAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などを複合化した領域では「欧米が強みを持つブランディングではなく、スペックの勝負になるため負けない」としている。将来はスマートファクトリーがインフラ輸出の一つとして発展し、日本経済を牽引する大きな産業分野になることを期待する。

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