トヨタ自動車が、今年に入って中国事業の拡大策を相次ぎ打ち出している。4月の上海モーターショーで、世界に先駆けてピュアEV(電気自動車)「C-HR」「IZOA」の2種を公開。併せて2020年からの中国市場投入を正式表明しており、各国のモータージャーナリストの目を引いた。
 翌5月8日発表された決算発表で、同社は日本企業として初めて売上高30兆円を突破(30兆2256億円)。同時に世界販売台数は1060万台と、2年続けて過去最高を更新した。その筆頭要因は中国での販売拡大だった。また22年ごろに中国の自動車生産量を倍増の280万台(現在は約140万台弱)とする投資計画も公表した。天津と広州の主力2工場で、累計数百億円規模の中国投資に乗り出す。さらに22年稼働をめどに、電気自動車専用の新工場に投資することも明らかになった。
 翌6月7日、電気自動車のコア部材である車載用電池の世界最大手、中国寧徳時代新能源科技(CATL)をはじめとする国内外5社との協業を拡大すると表明した。さらに7月19日には、ピュアEVとプラグインハイブリッド車で世界販売実績トップの比亜迪股〓有限公司(BYD)と、電気自動車の共同開発契約を結んだ。このニュースは中国現地でも大々的に報道されている。20年代前半に共同開発したEVの中国市場への導入(トヨタブランド)や電池開発を目的としたもので「世界的に進む自動車の環境対応に向けて協業が必要と判断」(トヨタ)したという。
 また日本国内ではあまり注目されなかったようだが同25日、中国ライドシェア(配車・相乗り)最大手の滴滴出行(ディディチューシン)と、モビリティサービスの協業を拡大すると明かした。滴滴は中国で約5・5億人の利用客があり、同サービスで毎日数千万台規模(正確な登録台数は未公開)の車両がタクシー代わりに使われている。トヨタと滴滴は今後、中国で合弁会社を通じて車両レンタルや保守サービスを展開。レンタルにはトヨタブランドのピュアEVも投入される見込みだ。
 これらに先立つ4月21日、北京清華大学を訪れたトヨタの豊田章男社長は、同大学とFCV(燃料電池自動車)の共同研究機関を設置すると表明した。学内で行われた講演で「中国の新たな発展を手助けしたい」と語っている。そして、その後数カ月にわたる怒濤の拡大策-。現在、トヨタを含む日系は中国で欧米自動車大手に先行され、後塵を拝する。EVやFCVで巻き返しを狙うトヨタの動きに目が離せない。

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