国土交通省はこのほど、女性ドライバーや高齢者などが運転しやすいトラックのあり方について取りまとめた。日差しへの配慮、荷台のあおり・後部ドア開閉時の負担、ステップ・はしごの設置による荷台の乗降性改善など、要望に配慮した車両・架装の開発が望まれるとしている。人手不足が深刻化するトラック運送業界に、多くの人材を呼び込むためにハード面の整備は有効な手段となる。併せて職業としての魅力を高めていく取り組みが必要になる。
 国交省および全日本トラック協会は、女性をはじめとする多様な人材の確保、現在勤務するドライバーが高齢化しても働きやすい環境の整備を目的に、2018年3月に学識経験者、運送事業者、関係業界団体などの関係者らで構成する検討会を設置。4回にわたる議論を踏まえ「女性ドライバー等が運転しやすいトラックのあり方」がまとめられた。それによると、最新のトラックにおけるキャビンの乗降性、運転に適したシートの調整範囲、ミラー、メーター、スイッチ類の見やすさといった点については、運送事業者、女性・高齢ドライバーからの評価は総じて高いという。
 その一方で「格納式リアステップ」、高さのある荷台に安全に乗り降りできる「荷台昇降用グリップ」、車両側面の視界エリア、とくに死角になりやすい後部下方をカバーできる「2面鏡式ミラー」、車両の縁を灯火で知らせ、荷役作業中の転落などの防止に寄与する「荷台の赤色LEDライト」など、多様なニーズに対応するオプションが存在するものの、運送事業者に十分に認知されているとは言い難いことも分かった。これに対しては対応事例や取り組み事例などの情報を共有することがポイント。今後、車両メーカー、架装メーカーなどへの周知を図っていくという。
 トラック運送事業は、わが国の産業活動や国民生活の基盤を支える重要産業の一つ。ただ一方で、トラックドライバーにおける有効求人倍率は全産業平均の2倍に相当する3・03倍(19年1月時点)と、他産業に比べ労働需給のひっ迫が顕著になっている。しかも女性の就業率はいぜん低く、ドライバーの平均年齢も全産業の平均に比べ高い。
 今後も物流サービスを継続的に提供していくためには、将来の担い手の確保や現在勤務しているドライバーが働きやすい環境を維持していかなければならない。とりわけ、さらなる活躍が期待される女性や高齢者をはじめとする多様な人材の確保のための環境整備が不可欠となっている。

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