ドローン(無人航空機)をインフラ点検に活用する動きが日本でも広がっている。橋梁や建築物など社会インフラの取り組みが先行しているが、ここにきて重要な産業インフラである石油・化学プラントでも保安業務への活用が始まっている。
 わが国の石油・化学産業において、プラントの高経年化や、ベテランの引退と若手の経験不足などによる保安力の低下が大きな課題となっている。経済産業省は近年、先進技術の活用によるプラントの安全性・生産性の向上や、保安業務の合理化を推進している。とくにドローンは、搭載するカメラを用い、人が確認困難な高所などの点検や災害時の迅速な現場確認などで活躍が期待される一方、コンビナートでは、より安全な活用・運用が求められる。
 こうしたことから石油コンビナート等災害防止3省連絡会議(総務省消防庁、厚生労働省、経産省)は、このほどプラント保安分野でのドローン活用に関し、プラントの通常運転時、設備開放時、災害時の3つの局面に応じた運用方法を整理したガイドラインをまとめた。通常運転時は飛行エリアに応じたリスクアセスメントを実施し、その結果に基づくリスク対策を考慮することが望ましいとし、一般的な対策に加え、防爆エリアなどへの侵入防止や、飛行継続が困難な状態での対応、防爆エリア落下時の対策などを記載。活用にあたり航空法や電波法などの規制を踏まえるとともに、国土交通省のドローンに関連したガイドラインやルールも活用すべきとしている。
 同連絡会議では、活用実態・活用事例についても紹介しており、石油連盟、石油化学工業協会、日本化学工業協会の会員企業へのアンケート調査では、回答のあった41社86事業所中、16社27事業所で活用実績があったという。また活用実績のない30社59事業所でも25社39事業所で活用のニーズがあった。とくに点検したい設備としては、塔本体・塔頂配管が多く挙げられ、高所の点検作業への活用が期待される。
 ドローン自体も高性能・高機能化は進んでいるものの、飛行可能距離や電波の遮断、混信による操作への影響や、搭載する電池自体の安全性など、まだまだ課題は多い。
 ガイドラインを参考にして安全な活用・運用を図るのは当然のこと、ドローンの性能を過信せず、長年現場で培ってきたノウハウや経験と組み合わせ、創意工夫を凝らした新たな使い方を見いだし、各社がプラント保安のさらなる高度化や効率化を実現し、競争力を高めていくことを大いに期待する。

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