省エネルギー・低環境負荷の化学プロセスの重要性がますます高まっている。フェムトリアクタープロセスも、その一つ。バルクプロセスでは不可能な微細制御を可能とし、さまざまな機能化学品・材料の製造へ応用が期待される。機能性化学品の連続フロー合成プロセスの要素技術としても評価されている。産業技術総合研究所を中心に6社の民間企業が加わった産学共同研究が進んでおり、技術研究組合の設立も準備されている。より多くの企業の参加で幅広く応用されることを望みたい。
 フェムトリアクターは、エレクトロスプレー法によって直径数マイクロメートルレベルの極微小液滴を反応させるプロセス。高選択的な反応制御が可能なため、機能性化学品プロセスに用いれば現在主流のバッチ法を連続法に転換できる。副生成物や消費エネルギーを大幅に減らした環境負荷の低いプロセスを実現する。
 化学産業のCO2排出量は、製造業においては鉄鋼業に次いで多い。基礎化学品プロセスでの排出量が多く、機能性化学品プロセスで低減させても、排出量全体に対する寄与はそれほど大きくはない。しかし、このほど開かれたフェムトリアクターシンポジウム(主催・産業技術総合研究所)において、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術戦略研究センター環境・化学ユニット長の土肥英幸氏は「オレフィンのプロセス転換はハードルが高く、できるところから着手することが重要」と、フェムトリアクタープロセスを実用化させる意義を強調している。
 シンポジウムではNEDOの先導研究プログラムで実施された3年間の成果として、量子ドットディスプレー材料への応用(日立化成)、高活性排ガス触媒の合成技術(キャタラー)、新規フェノール樹脂プロセス(住友ベークライト)、乳化剤を使用しないフッ素樹脂合成技術(ダイキン工業)、量産プロセス(日華化学、三菱ケミカルエンジニアリング)の各テーマについて発表が行われた。
 20年度からは実用化技術へ開発のステージを引き上げることが検討されており、反応物の連続分離回収技術などをテーマとする予定だ。産総研はコンソーシアムを結成し、より幅広い企業の参加を呼び掛けるとしている。自動車部品、通信エレクトロニクス材料、合金触媒などの材料分野や、エッチング、繊維角などの加工技術分野など応用分野も広げていく方針だ。
 機能性化学品プロセス開発は各国がしのぎを削っているが、フェムトリアクターは日本に優位性があり、産業競争力向上につながる可能性がある。

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