プラスチック資源循環戦略が中央環境審議会の専門委員会で了承された。野心的な数値目標を掲げることで、プラスチック対策で世界をリードする姿勢を鮮明にした。細部には異論が多くとも、まずはスタートを切ることが大事だ。数字をいたずらに追いかけることなく、本質的に意味のある取り組みを進めてほしい。
 3Rの出発点であるリデュースの徹底に向けて「2030年までにワンウェイのプラスチック(容器包装等)をこれまでの努力も含めて累積で25%排出抑制するよう目指す」ことをマイルストーンの一つに掲げた。その方策としてレジ袋の有償化を義務づける。
 08年に全国に先駆けてレジ袋無料配布禁止した富山県では、これを契機に店頭でのレジ袋辞退率が高まり、現在はマイバッグの持参率が95%にまで達したという。レジ袋を通じて育まれた意識が、さまざまな分野のリデュースにつながるなど波及効果も期待できる。
 ただ本質的に環境保全を考えるならば、レジ袋有料化の効果を測定する際には、併せてマイバッグの使用実態も確認する必要があるだろう。プラスチック循環利用協会の試算によると、マイバッグに使われるプラスチックの重量はレジ袋の10倍程度だが、製造にともなうCO2排出量はおよそ50倍にもなる。レジ袋がごみ袋などとして再利用されていることを踏まえると、マイバッグは100回程度使わないことには、レジ袋に比べて環境にやさしいとは言い切れない。
 またマイルストーンには「2030年までにすべての使用済みプラスチックをリユース又はリサイクル、それが技術的経済的な観点等から難しい場合には熱回収も含め100%有効利用する」と、熱回収に対しリユース・リサイクルの方を優先させることが強調されている。
 確かに、熱回収がリユース・リサイクルの推進に向けた努力の免罪符となってはならない。ただ、その一方で、エネルギー効率を無視してリユース・リサイクルを強いるのもナンセンスだ。100%有効利用するとの目標についても、数字が先行すれば、熱回収設備によって帳尻合わせに走ることにもなりかねない。
 戦略の基本原則には「世界での資源制約・廃棄物問題、海洋プラスチック問題、気候変動問題等の同時解決や持続可能な経済発展に最大限貢献します」とある。プラスチック問題への対応は重要だが、近視眼的にならず、社会経済全体にわたる視野から具体的な取り組みを進めていってほしい。

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