プラントメンテナンス業界の人手不足が深刻の度を増している。大手企業でも新卒の採用に苦しみ、下請けの建設企業であれば、さらに困難な状況だ。今年4月1日からは改正労働基準法など「働き方改革関連法」が施行される。建設業は適用が5年間猶予されるとはいえ、時間外労働規制に対応しなくてはならない。2020年度は石油精製・石油化学の定期修理工事が集中する大定修年に当たり、大量の作業員を動員しなくてはならないが、その後も人手不足が緩和されるとは考えにくい。メンテ企業個社まかせではなく、プラントオーナー企業、行政も知恵を出して解決策が導き出されることを期待したい。
 空前の売り手市場にあって、新卒学生にとって建設業は人気職種とは言い難い。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)の活用により、いくら設計業務の省人化が図られようとも、建設は、やはり人手を投入しなくてはならない仕事だ。
 働き方改革の目指すところは支持できても、定修工事を求められる期間内に終了するうえで時間外労働規制は大きな障害となる。社名を公表された違反企業は、リクルートがますます困難になる。加えて20年度は4年に1度の大定修年。高経年化による補修や、高機能製品設備への改造・新設工事は4年前より需要が増える可能性がある。定修は必ず実施しなければならないが、無理な工事は工事の安全や品質に影響しかねない。
 メンテナンス各社が努力するのはもちろんだが、業界全体、さらには石油石化業界、行政の協力も得て、人手不足解消に向けた取り組みが進むことを期待したい。石油化学工業協会は、独占禁止法に抵触しないかたちで定修時期を調整する方法を検討している。スーパー認定事業所制度の創設も、定修時期を先延ばしできるため、集中を緩和する効果が望める。
 また改正出入国管理法で一定の技能を持つ外国人や技能実習終了後の希望者に就労資格を与えることが可能になった。日本人が嫌う、いわゆる3K労働に安価な外国人労働者を活用するという発想ではなく、日本人に劣らない待遇を与えて優秀な労働力を確保すると考えることが必要だ。メンテナンス業界が直面しているのはコストダウン要請ではなく、提供する設備保全サービスの質的な維持だからだ。
 一例を挙げれば、溶接工には国際資格があり、一定の水準に達している技能者は海外にも数多くいる。こうした海外の技能者を日本に招く仕組みを考えては、どうだろう。年や季節によって変動する必要作業員数の調整にも寄与するのではないか。

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