AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ解析だけでなく、シミュレーション技術、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)など「xR」関連を含め、最先端の技術を活用した新たなモノづくりが始まっている。
 自動車分野ではCASE(つながる車、自動運転、シェアリング、電動化)を備えた次世代車の開発に向けシミュレーション技術を駆使したモデルベース開発が盛んになってきた。
 現実世界に実在するプラントなどをデジタル世界で仮想的に再現し、2つを連動させて予期せぬトラブルの防止や、運用最適化などを追求する取り組みも行われている。
 また素材分野においては、情報科学を駆使して新材料や代替材料を効率的に探索するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)により、素材メーカーが開発の大幅な効率化とスピードアップを実現しつつある。
 新製品・新サービスの提供の仕方も変わってきている。コンシューマー向けの音楽配信などで浸透しているサブスクリプションサービスやリカーリングビジネスにより、「モノ」売りから「コト」売りに転じ、製品そのものではなく、顧客に提供する新たな価値を評価してもらう動きも活発だ。
 化学などの素材産業や機械・設備メーカーは、開発や量産化を実現するためのコストが大きいため失敗が許されない。このため、どうしても製品のリリースに時間がかかってしまい商機を逸する恐れがある。
 一方、デジタル製品などではネットワークの充実・高速化を背景に、まず製品を世に出し、頻繁にソフトウエアやファームウエアをアップデートして改善を重ねたり、ユーザーの反応をみながら適宜改良する手法も珍しくない。ただ最初リリースした製品の評価が低いと、その後の改善で評価を覆すことは容易ではない。
 どのやり方が正しいということではないが、グローバルに競争が激化するなかでは、インパクトのある製品・サービスをいかに早く提供するかが大事だ。つまりいかに「初速」を高めるかが勝負の分かれ目となる。
 最近では異業種の企業が協業し、全く新しい製品やサービスを生み出す事例も増えている。自社にない強みを持つ企業とのコラボレーションを通じ、協業先の優れた取り組みや仕事の仕方を吸収し、自らのモノづくりをさらに進化させて欲しい。その結果として世の中にインパクトを与え、従来と一線を画す製品・サービスが次々と生まれることを心待ちにしている。

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