日本・ロシア間、あるいは日本・欧州間の貨物の国際複合輸送で、ユーラシア大陸横断鉄道の活用が進んでいる。国土交通省はロシアと共同で、シベリア鉄道の利用促進へ向けたパイロット事業を推進。日本通運、日新など物流大手は、中国と欧州を結ぶ鉄道ルート(中欧班列)を使った輸送サービスの本格展開に乗り出した。
 ユーラシア大陸横断鉄道を使った貨物輸送は、目的地までのリードタイムを海上輸送より短縮でき、航空輸送よりも費用を抑えられるなどの優位性があり存在感は高まっている。ただ第3の選択肢となるには、さらなるインフラ整備と認知度向上の取り組みが重要になる。
 シベリア鉄道は、モスクワとウラジオストクのロシア東西を結ぶ大動脈。20世紀初頭に建設され、以来ユーラシア大陸における人・貨物輸送の中心的手段として役割を果たしてきた。年間輸送能力は1億2000万トン規模とされている。
 コンテナ貨物の輸送は、日本が中心となって1970年代からスタートした。日本の港から船でウラジオストクなどの港に運んだ後、鉄道に積み替えてモスクワまで運ぶもので、主に欧州や中東向けへのトランジット輸送として利用された。90年代以降は、経済的混乱や船舶との競合などもあって日本の利用は低調に推移している。
 こうしたなかで2018年8月、日本・ロシア共同による両国間鉄道コンテナ輸送のパイロット事業がスタート。さらに19年度からは輸送範囲を日本・欧州間に拡大することで合意し、ロシア国内での規制や手続きの見直し、サービスの改善、広報などでも協力する。
 一方、日通は、中国の「一帯一路」政策に呼応し、15年11月から中国と欧州を結ぶ鉄道輸送サービスを開始した。17年5月には、このサービスの取り扱い可能な都市と輸送ルートを大幅に拡大。さらに今月4日から週3便で、西安からポーランドのマワシェビチェ、ドイツのハンブルクおよびデュイスブルクに到着する定期便を始めた。
 日新は、中欧班列を使った横浜・厦門・デュイスブルク間のトライアル輸送を、このほど完了した。18年6月に実施した連雲港経由ハンブルク向けに続く輸送ルートを確立したことにより、幅広い荷主層を対象に営業活動を強化する方針。
 アジア・欧州間の貨物輸送の手段は現在、ほとんどが船舶といわれる。ユーラシア大陸横断鉄道はいぜん認知度が低い。海上、航空に次ぐ第3の輸送モードとして定着するには、その利用メリットを積極的にアピールしていく必要がある。

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