世界ではいま、大手石油会社が石油化学(石化)事業を強化したり、石化事業に参入する動きが加速している。自動車の電動化や燃費向上、あるいは風力発電、太陽光発電といった再生可能エネルギーの台頭により、燃料油としての石油需要のピークアウトが予想以上に早まるとみられるためだ。こうした動きは今後、国内産業にも大きな影響を与えよう。
 サウジアラムコは、中国、インド、マレーシアなどで合弁による石油精製と石化の一体生産拠点の建設計画を推進中。統合型モデルで石油の付加価値を広げ、新たな成長を実現しようというもの。このうちインドの計画にはアブダビ国営石油(ADNAOC)も参画する。北米では、エクソンモービル、シェブロン・フィリップス、シェルといったスーパーメジャーが石油化学事業を強化中だ。いずれもシェールガス由来の大型エチレン設備(エタンクラッカー)新設計画を推進しており、シェブロンは3基目の新設を検討している。隣国の韓国では、石油精製大手のGSカルテックスが単独で、現代オイルバンクはロッテとの合弁により、それぞれ石化産業参入を決め、エチレン設備(ナフサクラッカー)の建設計画などを進めている。
 一方、国内の石油精製企業は近年、経済産業省による産業競争力強化法第50条に基づく調査結果もあり、企業統合による業界再編と国内需要に見合ったダウンサイジングを推進。これが一段落したことで良好なマージンを享受している。しかし石油内需は年率3%程度で減少を続けると予想されており、2040年には需要が現在の半分程度まで減少する計算だ。足元の良好な環境は「一時の踊り場に過ぎない」という厳しい認識を持つべきだ。
 また石化企業も、米シェール革命の動きを先取りし、14年以降に3基のエチレン設備を停止するダウンサイジングを実施。フル生産体制を構築して収益環境を好転させた。しかし各社の設備は国際的にみて規模が小さく、老朽化対策の修繕コストも年々かさんでいる。10年単位で見た場合、新規大型設備の建設が不可欠という考えは業界内部の常識となりつつある。
 18年度の決算では機能化学品系事業においても、購入原料の価格上昇を受けて収益面で苦戦する傾向がみられる。化学企業はこれまで、高付加価値製品へ事業をシフトし、収益変動を抑える戦略を進めてきたが、原料高の局面では、それが万能でないことが示されたといえる。差別化製品で成長するためにも、基盤となる基礎化学品の強化が不可欠といえよう。

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