中国の内閣に当たる国務院が第14次5カ年計画(「14・5」、2021~25年)作成の準備を本格化させている。米国との覇権争い、香港デモ、格差拡大や社会の高齢化など山積する課題に対処しながら、同期間に5%程度の成長が求められ、難しい舵取りが迫られる。産業界の視点からは経済の安定化を図りつつ、規制緩和などビジネス環境の一層の改善を期待したい。
 中国では、共産党が5年ごとに経済・社会の発展目標を含む5カ年計画を示してきた。現行の「13・5」では構造調整の一環として供給側改革に努め、経済は財政政策なども通じて6・5%程度の中高速成長への軟着陸を目指してきた。
 20年は13・5の最終年であるとともに14・5の策定年。先月25日には李克強首相や胡春華副首相らが参加して14・5の編成会議を開催した。李首相は次期の5年は外部環境が一層複雑化し、不確定要素が増大するとしたうえで、経済構造改善や発展原動力の転換の重要な時期との認識を示す。
 複雑化する外部環境の一つは言うまでもなく米国との覇権争いだ。一部の関税撤廃に向けた合意機運も高まるが、先端技術や軍事面でのつばぜり合いは、なお長く続くであろう。長期化する香港デモなど内政の安定化も重要な課題だ。経済の新たな成長エンジンとしてAI(人工知能)やIoT、新エネルギー自動車、医療など先端技術産業の発展も欠かせない。
 日本の経済界は税制や情報セキュリティ、就労手続きなどビジネスの阻害要因となる規制緩和や知的財産権保護の徹底を求めている。10月末に公布された「ビジネス環境改善条例」は国の指針として初めて出された改善措置。企業支援の平等化、知財保護強化、行政手続の簡素化などを謳っており評価できる。14・5では条例にかかわる法律や法規の改定、地方での実施体制の確立に努めて欲しい。
 石油・化学産業における5カ年計画の策定も水面下で動き始めた。中国の石油・化学工業企画院は25年までに産業として基礎を固め、世界トップクラスの競争力をつけたいとしている。14・5では引き続き過剰能力解消とともに、輸入に依存する先端材料の内製化、旧来設備の構造転換などを進める意向だ。
 「世界一厳しい」と言われるようになった環境・安全生産規制も維持・強化の流れにある。広域経済圏構想「一帯一路」の戦略に合わせて中国企業の海外進出も加速しよう。14・5の策定状況を注視すれば、日本勢も省エネや環境、海外展開などの知見やノウハウを生かした商機が自ずとみえてくるはずだ。

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