中国が金融分野への外資参入に関する規制の緩和策を発表した。外資格付け会社による格付け対象範囲の拡大や、外資が銀行間債券市場で発行される債券の引受主幹事になることを認めるなどの内容が盛り込まれた。金融市場開放を求める米国への配慮が背景にあるものの、金融開放が進む契機となることを期待したい。
 中国人民銀行(中央銀行)はこのほど明らかにした規制緩和策は11項目に上る。例えば、中国では外資系企業による生保や証券などへの出資比率が51%までとされてきたが、これを100%まで認め、2021年だった上限撤廃期限を20年に前倒しする。ファンドや先物会社への出資規制も撤廃する。
 とくに注目されるのは外資格付け会社の業務範囲の拡大で、証券取引所に上場するすべての債券の格付け業務を認めた。銀行間債券市場で発行する債券を対象に、外資が債券の引受主幹事を務めることも容認する。
 また海外の保険会社が中国の保険資産運用会社の25%を上回る持ち分を保有することも可能になる。海外の保険会社が参入する際に適用していた30年の保険業務経験が必要との条件もなくす。海外の機関投資家が銀行間債券市場に容易に投資できるよう一段の対策を講じることも付け加えた。
 中国では世界市場での競争力が劣る証券や保険市場を保護するため、外資の参入ハードルを高く設定してきた。外資金融機関が規制緩和を要求しながら実現してこなかったこれまでの歴史を鑑みれば、今回の決定は隔世の感がある。外資系銀行は利ざやの大きい中国の債券引受業務への参入を歓迎している。
 こうした規制緩和の背景には先の主要20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で米中貿易協議の再開が確認され、水面下で対面協議に向けた準備が進められていることがある。中国は金融開放を交渉カードとして手元に置きたい考え。他方、債券や資産運用業の市場開放を通じて外資マネーを取り込み、経済活性につなげたい考えもあるだろう。
 振り返れば1980年代の日米貿易摩擦において、日本も米国から金融分野の開放や金融自由化を要求された経験があり、今回の状況はよく似ていると言えるだろう。もちろん中国は今回の金融業の対外開放と資本自由化を分けて考えており、同一にはできない。
 それでも世界2位の経済大国となった中国が金融面の開放でグローバルスタンダードからあまりに遅れてきたのは事実。これを機に市場の公平性や透明性が増すことが期待される。

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