中国で環境規制や危険化学品規制が強まるなか、日系はじめ外資企業の間に継続生産への不安が広がっている。とりわけ生産基盤たる化学園区の存立が危ぶまれるなら安心して操業・投資できまい。そのなか先駆けて園区の認定制度を設けた山東省の取り組みを評価したい。中央政府が外資誘致を積極化し、引き続き化学産業の発展を目指すのであれば、全国で仕組みづくりを促進すべきだ。
 「化学大省」と呼ばれる山東省には、全国で最も多い約9500の化学企業が集積しているとされ、危険化学品の生産企業は2700社超に上る。他方、開発区に入居していない企業も多く、ずさんな生産管理による死亡事故も後を絶たない。2017年6月に起きた化学品の事故などを受け、同省政府が策定したのが「化工産業安全生産モデル転換計画」。その後、化学基地の優劣を判断するため設けたのが「山東省化工園区認定管理弁法」。以来、同省に199カ所とされる化学園区・基地の評価を進め、今春までに85カ所で基準達成を認めた。
 具体的には総合計画、基礎インフラ、安全生産、環境保護、経済発展の5項目を最高100ポイントとして評価し、60ポイント以上を合格とした。「一定程度の園区面積を有する」「園区内に病院や学校を設置しない」「統一の汚水処理施設を作る」などの評価点が列挙されている。
 塗料、バイオケミカルなどを得意とする一部の園区は、優れた企業群を誇る一方、生産規模が必ずしも大きくない場合がある。これら園区は「専門園区」として特別枠を設けるなど、柔軟に対応しているのも特徴だ。園区外の企業についても、外資など技術力が高く、納税額が高い企業は重点管理標準を設けることで60社を特別認定した。
 同省の工業・情報化庁によると、認定された園区85カ所のうち、平均合格点は75ポイント。85ポイント以上は10%にとどまり、90ポイント以上はゼロ。同庁は「結果には満足できないが、一定の判断基準を設け、今後も継続的に監視していきたい」としている。
 こうした認定標準を受けた園区は政府のお墨付きを受けた格好で、入居する企業は一定の安心感が得られよう。投資の際の大きな判断基準にもなる。
 ただ認定制度について、江蘇省や湖北省など一部の省で策定する動きがあるものの「策定は各地方に委ねられ、足並みは揃っていない」(中国石油・化学工業連合会)。民間の積極的な投資を呼び込み、産業の安定的な発展を目指すためにも、統一可能な共通基準を設けるなど、全国で仕組みづくりが進むよう政府は知恵を絞るべきだ。

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