中国の経済成長の減速や米中貿易摩擦の影響が、今年度に入ってからプラスチック加工業界でも顕著になってきた。全日本プラスチック製品工業連合会の2019年4~6月期の会員景況感調査報告によると、生産・売上高は前期に比べて「増加」が4・4ポイント減った。1~3月期でも減っており、減少傾向が続く。また原材料単価は「増加」が23・2%と高止まり。来期見通しは「好転」11・4%、「悪化」25・1%で、やや後ろ向きの状況となっている。
 経営上の問題点も同様の傾向で、売り上げ不振が前期よりも11・5ポイント増えて40・3%、製品単価安は前期より6・2ポイント増の28・9%となった。
 製品別にみると、日用品・雑貨類、包装容器・キャップ、電気・電子・通信部品、住宅関連といった、自動車と医療機器以外の製品は「減少」の割合が高い。団体別の生産・売上高をみても自動車大手の生産拠点がある中部日本は「増加」の割合が東日本や神奈川より高い。事業規模でみると20人以下の小規模企業は生産・売上高の「減少」や総合判断の「悪化」が5割に達し、厳しい状況にある。
 会員からは「今年に入ってから急激な売り上げ不振に苦慮している」「インバウンドもピークを過ぎ、中国経済の減速や米中貿易摩擦から国内商品の停滞が自社の業況に影響を与えているのでは」「自動車業界以外での好調はあまり聞かない」などの意見が寄せられている。政府の7月の月例経済報告でも新車や家電の販売は持ち直しているが、アジアとEU向けの輸出は弱含んでおり「通商問題の動向が世界経済に与える影響や中国経済の先行きなど海外経済の不確実性に留意する必要がある」としている。現代のサプライチェーンはグローバルにつながっている。中国経済減速に加え、韓国への輸出管理強化や英国のEU離脱など出口の見えない状況が今後も続きそうだ。
 人手不足の問題も引き続き影を落としている。経営上の問題点では「人件費高」「採用難」「技能者不足」「人材育成」などの割合が高い。最低賃金の引き上げは人件費高につながり、中小企業の経営を圧迫することは否めない。政府には中小・小規模事業者対する十分な支援を求めたい。採用難については、従業員数300人以上の大規模企業ほど厳しい状況のようだ。外国人で補ったが日本人の採用は難しいとの意見もあった。今年4月にスタートした在留資格「特定技能」では、プラスチック製品製造業(日本標準産業分類)としては、まだ対象となっていないが、業界は政府に速やかな対応を求めている。

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