トヨタ自動車が連結売上高30兆2256億円と、国内企業で初めて30兆円を超える数字を確保した。2012年には一時的に20兆円を割り込んだものの、アジアや欧州で好調な販売を継続。そして、ここ数年で中国市場において大幅に販売台数を伸ばし今回、30兆円突破の大きな牽引力の一つとなった。とりわけ「レクサス」を中心とする高級車が引き続き好調だ。
 中国では、上海や広州など大都市圏を中心に「レクサスを普通に見かける。駐車場を見てもレクサスが必ず停まっており、SUV(スポーツタイプ多目的車)も頻繁に見る」(上海の日系化学企業の総経理)など爆発的な売れ行きのようだ。
 昨年、トヨタの中国市場における生産台数は約131万台、輸入車を含む総販売台数は約140万台だったが、25年までに生産台数を約280万台まで引き上げる。昨年秋ごろに、中国の自動車部品や部材メーカーの間では「トヨタが中国で本格的な大規模投資に乗り出す」「年間300万台前後を中国で生産するらしい」といった情報が駆け巡った。
 今年4月に開かれた上海モーターショーにおいてトヨタは、20年に中国市場へ投入する小型SUVタイプEV(電気自動車)「C-HR」を世界で初めて公開した。現地プレス会見などでは中国生産の方針に触れ、日本の中部・愛知を地盤とする大手各紙が「トヨタの中国生産拡大」を相次いで報じ、昨秋に中国当地で流れた業界情報を裏付ける結果となった。
 トヨタでは、20年に中国市場に投入する新型EVの現地生産(上海および広州)に向けた投資の検討に入る一方、清華大学(北京市)と、先端技術や水素利用技術を共同研究する「清華大学-トヨタ連合研究院」の設立で合意した。すでにトヨタは11年に「トヨタ自動車研究開発センター(中国)有限会社(TMEC)」を江蘇省常熟市に設け、実験棟や車載電池の評価設備、テストコースなど、中国での車両開発体制を着々と整備している。
 日中間を巡る政治的ムードも良好という背景も後押しし、トヨタの地盤となる名古屋市や愛知県内、そして中国当地の企業からも「いよいよトヨタが(中国展開に)本腰を入れてきた」という声を聞く。ティア1企業は、早くもトヨタに連動する設備投資に動き始めた。
 米中貿易摩擦や北朝鮮問題など、世界経済影響における懸念事項は多々あるが、日本を代表する自動車メーカーの着実な動きは、化学系材料や部材各社に取って事業拡大の追い風の一つとなるのではないか。

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