現在、東京の有明と青海の2地区で開催中の東京モーターショーのテーマは「OPEN FUTURE」。クルマ・バイクにとどまらず、未来の暮らしや街まで領域を広げ、来るべきモビリティ社会を紹介するイベントで、世界8カ国・187の企業・団体が最先端の技術・製品を出展している。
 自動車産業は「100年に一度」といわれる大変革期を迎えており、その潮流であるCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)の実現に向け、各メーカーがしのぎを削る。MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)社会の到来も予想され、各地でさまざまな実証が始まっている。
 日本は、1955年から70年にかけて高度成長によって個人消費が急速に拡大。60年代後半からのマイカーブームで、モータリゼーションとともに道路整備も進んだ。国土交通省の統計によると、日本の道路の総延長は2017年4月現在127万9511・0キロメートルで、自動車専用の高速道路は9341・1キロメートルに及び、輸送の動脈として大きな役割を果たしている。
 MaaS社会では自動車の位置づけが大きく変わる。三菱電機のコンセプトキャビン「EMIRAI S」は車内外のコミュニケーションが今後、より重要になると考え、各種センサーで乗員の状態を検知し車内環境を最適化したり、複数の人の声を識別し要望に応えることを提案する。自動運転になると、人が運転するためのステアリングは不要あるいは基本的に格納される。乗員が進行方向に向かって座る必要もなく、ネットで好きなものを注文し、ピックアップポイントで無人運搬ロボットが運んできた食べ物や商品を受け取ることもできる。
 道路のあり方も見直されそうだ。パナソニックは大阪・門真市の本社エリアで、社員向けに自動運転ライドシェアサービスの本格運用を始めた。低速・小型車両で、ディープラーニングを用いた人認識技術などを活用し、人の生活圏であるラスト10マイルのモビリティサービスを目指している。技術的・地域的パートナーと連携しながら、それぞれの地域に合った人と共存するモビリティを提供。自動車の走行する道路が少ない新たなクルマ社会を提案する。
 加齢によって認知機能が衰えた高齢者による暴走事故や、あおり運転などが社会問題化するなかで、最先端のクルマや、自動運転が変えるモビリティのあり方、それを前提とした将来の暮らしを垣間見ることのできるモーターショー。人とクルマの新たな関係を考える良い機会となるのではないか。

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