物流の現場で人手不足が深刻の度を増している。昨年末にまとまった国土交通省の2019年度予算案では、トラック輸送や内航海運で危急のこの課題に対し、解決に向けた厚い予算が組まれた。
 トラック輸送の分野では、労働生産性の向上、多様な人材の確保・育成、取引環境の適正化を通じ、働き方改革による労働条件の改善を推進するため1億5500万円を計上した。具体的には「ホワイト物流」推進運動の展開、輸送品目別取り組みの強化、長時間労働の是正に資する機器・システムなどの活用促進を掲げた。
 ホワイト物流とは、労働生産性が高く、女性や高齢者を含む多様な人材が活躍できる労働環境を実現した物流形態を指す。これに関しては物流事業者、企業、国民の協力や連携が必須。まず物流事業者は労働条件・環境の改善に取り組むとともに、荷主企業・元請け事業者に対して物流の改善に関する提案と実施が求められよう。荷主企業には荷待ち時間の削減などコンプライアンスやCSRを踏まえた適切な対応が必要となる。また国民にも、宅配便の再配達の削減などへの協力・理解が求められることは言うまでもない。
 輸送品目別取り組みの強化では、個々の品目ごとに抱える課題に違いがあることから、それぞれの課題や実態を把握し、改善方策を検証する。30分以上の荷待ちが生じた件数は、とくに食品・飲料や建設資材などで多いが、その他品目でも多く、広い分野で時間待ちが長いと考えられる。また地方により品目ごとの課題が異なってくるため、地方でも関係者との取り組みを進める。一方、長時間労働の是正では、予約受け付けシステムの相互利用の促進、同システムと配車システムの連携による効果検証の実施などを挙げた。関連して18年度の補正予算1億円で、中小トラック運送事業者に向け、荷役時間が3分の1程度に短縮できるテールゲートリフター導入支援も行う。
 海事局関係では、内航海運の安定的輸送の確保・生産性向上に向けて19年度1900万円を計上した。荷役に関する運送契約などの実態、船員の荷役作業や、その自動化の現状を調べ、船員の負担軽減や安全性確保のための取り組みを図る。また次代を担う海事人材の確保・育成へ、海技教育機構の経費に72億3200万円、船員の確保・育成体制の強化に9900万円を充てる。さらに造船業における人材の確保・育成に向けて8300万円の予算措置をとった。これら取り組みが具体化され、業界の抱える課題が解消に向かうことを期待したい。

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