ESG(環境・社会・統治)投資に対応した企業情報開示の重要性が高まっている。ESG投資が世界の投資全体に占める割合は、すでに3分の1に達する。エネルギー多消費型の製造業や、自然環境を脅かす懸念のある企業などが投資対象から外される動きも強まっている。さらにESGは、融資や債権といった間接金融の世界でも急速に浸透しつつある。企業は、ESG投資に対応した企業活動を推進するだけでなく、その情報を的確に開示する能力や開示情報へ容易にアクセスできる体制の整備も求められている。
 世界のESG投資の運用残高は、2018年初頭時点で約31兆ドル(約3440兆円)と、全運用残高の3分の1。とくに欧米では5割前後に達している。一方、日本での割合は2割程度だが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が15年に投資判断にESGの観点を取り入れることを求める国連責任投資原則(PRI)に署名し、16年から実際に運用を始めたことを端緒に、ESG投資が急速に注目を集め始めた。
 またESGの舞台は、投資から間接金融の世界へと広がっている。15年12月に「パリ協定」が採択されたのを受け、金融業界において、気候変動が投融資先の事業活動に与える影響を評価する動きが世界的に広まっていることが背景にある。
 G20財務大臣や中央銀行総裁の意向を受けて、17年には金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が最終報告書「TCFD提言」を公表した。日本でも、経済産業省が18年12月に「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」を公表するなど、対応に向けた機運が高まっている。
 こうしたなかで各企業はESGの考えを取り入れた事業戦略の策定、組織体制の整備、実際の企業活動などを進めている。重要なのは、こうした活動を自主的に進めるだけでなく、第三者に対して的確に情報開示する体制を整えることだ。グローバルに活躍する欧米企業の多くはESG、とくに気候変動、生物多様性の保護、土壌、水質、森林の保護といった環境面での対応について、戦略的に情報開示を進めている。
 一方で「日本企業は、情報開示の重要性について認識が甘い面がある」と、ESG関連のコンサルタント企業が指摘している。投資家や金融機関は、開示情報を収集してデータ化している。開示情報がない、もしくは見付けられない場合は、せっかくの努力が水の泡となりかねない。早急に対応するべきだ。

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