昨年暮れから新型コロナの感染拡大が加速し、11都府県に再度、緊急事態宣言が発出されるにいたった。空気が乾燥する冬に感染が広がると懸念されていたが、抜本的な対策を欠き、その通りとなってしまった。予防のため換気の重要性が叫ばれているが寒くなると、どうしても家など密閉空間にこもりがち。換気すれば室温が下がるので暖房を強くせざるを得ない。世界的な寒波によるLNG(液化天然ガス)の調達難や発電所トラブルも重なって、電力不足に追い打ちをかける事態にもつながっている。かといって換気をしても光熱費がかかるからと十分に部屋を暖めず、風邪をこじらせるようでは本末転倒だ。
 このような環境下、改めて高断熱住宅・建築物の重要性を訴えたい。高断熱住宅は、高い断熱性能および高気密構造がベースとなる。換気を増やすと高気密の意味が薄れるように思われがちだが、気密が担保できていれば暖房効果は高まる。重要性が損なわれるわけではない。
 国も住宅・建築物の高断熱化に力を入れている。先送りされた2020年までの戸建てを含めた省エネ基準化の義務化の代替策として「改正建築物省エネ法説明義務制度」が今年4月に施行される。建築士が建築主に省エネ基準に適合しているかどうかや、基準に適合しない場合に省エネ性能確保のために必要な変更内容を説明することが求められる。住宅を建てる際、これまで間取りやデザイン、水回りの設備に比べて意識が向きにくかった省エネ性能について理解する土台となる。住宅を売り出す際に光熱費を見える化する案なども検討されている。業界関係者にとっては光熱費が明示した数値通りにならずにクレームにつながるリスクを抱えることになるが、従来以上に施工管理の重要性が高まることは居住者にとっては望ましい。
 諸外国に比べて低水準な省エネ基準に上位等級を設けることについても検討が始まったようだ。現行の最高水準である「等級4」は「次世代省エネ基準」と言われ続けているが、設けられたのは1999年と20年以上も前。当時に比べて省エネの重要性は高まっている。暖かい室内で過ごすことの意味についても、光熱費の低減や快適性の向上だけでなく、ヒートショックリスクの低減や、病気になりにくくなるなど健康に好影響を及ぼす研究結果も複数公表されている。無暖房でも室温が18度Cを下回らないよう求め、満たさない賃貸住宅に改修・閉鎖命令などを出す国もある。国民の健康にも省エネにもつながる住宅の高断熱化・高気密化。さらに促進して然るべきだ。

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