産官学の基礎研究者、臨床研究者、エンジニア、法規制や倫理の専門家からなる日本再生医療学会(JSRM)が、再生医療の発展を支える基盤整備に力を注いでいる。これまでオールジャパンで臨床研究の促進や人材育成、データシステムの構築といったミッションを確実に達成してきたが、決して一時的な盛り上がりで終わらせるのではなく、安全で有効な医療として確固たる地位を獲得するため、今後も産官学民一体での地道な努力を継続してほしい。
 JSRMが掲げる活動目標の一つが、再生医療臨床研究の情報集積と発信だ。JSRMは再生医療の普遍化を推進するナショナルコンソーシアム事業を通じ、再生医療の臨床研究と製品開発の促進、安全性・有効性の保証などを目的とした「再生医療等臨床研究データ登録システム」(NRMD)を構築した。
 NRMDは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と日本医学会連合と連携したプラットフォームで再生医療などの臨床研究、治験、市販後調査まで規制に完全に対応したシステムとして提供。臨床研究に対応する「NRMD/CR」、市販後調査に対応する「NRMD/PMS」の2つのデータベースがある。このNRMDを有効活用し再生医療に関する科学的・医学的情報を集積するとともに、再生医療等研究・製造販売承認後調査のリアルワールドの客観的データを国内外に発信する。
 海外では日本の再生医療早期承認制度に対して好意的な反応ばかりではないという。JSRMは、日本医学会連合と連携してNRMD/PMSを構築・運用。規制当局とともに「リアルワールドエビデンス」による透明性と精度の高いPMSデータ評価を行いながら、その有用性を証明しようとしている。
 このほかの活動目標として、再生医療における原料の安定供給に向けた体制の構築や、オールジャパンでの再生医療の推進などが挙げられる。日本では再生医療の原料となる細胞の供給システムがなく、その多くを輸入に頼っているのが現状だ。産業化における大きな障壁となっていることから、製造・保管システムを整備するうえでの現状の問題点を抽出し、細胞の安定製造・安定供給のための体制整備・構築を目指していく。
 また、他の学協会および施設・行政・産業界に働きかけ、日本全体として再生医療推進のための協力連携体制を強化。産官学民一体での活動体制を整えながら「研究」「産業化」の両輪で推進する。JSRMの活動を通じ、再生医療の普遍化・産業化とともに患者主体の再生医療が実現されることを期待する。

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