産業機械・プラントメーカーが事業構造変革に取り組んでいる。国内外で設備投資が冷え込んで新規受注が減るなか各社、アフターサービス部門などに人員シフトを図る。需要回復が見通せないなかでもデジタルトランスフォーメーション(DX)技術を駆使し、高度化する顧客ニーズに応えてほしい。
 日本産業機械工業会がまとめた2020年4~9月の産業機械受注は、合計2兆1157億円(前年同期比2・1%減)。通期では2期連続して5兆円に届かない見通し。4~9月の需要部門別受注状況で製造業をみると、石油・石炭製品を除き化学、鉄鋼、はん用・生産用(旧一般機械)、電気機械、自動車など軒並みダウン。下期も投資意欲は冷え込んだまま。
 こうしたなかで各社は、プラントの設計・調達・建設(EPC)や新設工事の人員を、成長領域やオペレーション&メンテナンス(O&M)などサービス部門にシフトすることで業績回復を目指している。
 IHIは今年度、中期経営計画(19~21年度)の中間年に当たるが、環境変化に即し事業変革に取り組む「プロジェクト・チェンジ」(20~22年度)を新しく始動させた。課題は収益基盤の強化やライフサイクルビジネスの拡大、人材再配置、成長事業の創出など。
 同社は資源・エネルギー・環境でO&Mに参入し、顧客に最適なソリューションを提供していく。同時にDXの活用により東南アジアでプラントの予防保全などを進展させる。産業システム・汎用機械では、新設にとどまらず、ライフサイクルビジネス中心の業務プロセス改革を加速する。タイで新しく始めたアフターサービスを東南アジア全域に広げる。
 三菱重工業は「2021事業計画」の中でDXを推進し、サービス比率の低い事業において比率拡大を図る方針を打ち出した。スチームパワー、コンプレッサー、航空エンジン事業では23年度に20年度比30%増、製鉄機械、エンジニアリング事業は同25%増、防衛事業は同15%増まで高める。
 日立造船は、20年4~9月期で営業損益が大きく改善した。グループ子会社のイノバ(スイス)は、ごみ焼却発電プラントのEPCに軸足を置いた結果、赤字を計上していたが、サービス事業、バイオガス事業の拡大など収益構造を変革し、黒字転換を果たした。
 21年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しても受注の急速な回復は見込めない。各社はサービス部門を中心とする成長分野にシフトし、収益改善を目指してほしい。

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