国土交通省の2020年度予算の概算要求は一般会計総額が7兆101億円となり、政権交代前の自公政権がまとめた10年度予算要求以来10年ぶりに7兆円を超えた。19年度当初予算比で18%増となる。先ごろ佐賀県などを襲った豪雨のように、最近の自然災害は激甚なものがあり、対策を進めるために大幅増額となったようだ。
 概算要求は「被災地の復旧・復興」「国民の安全・安心の確保」「生産性と成長力の引上げの加速」「豊かで暮らしやすい地域づくり」の4本が柱。
 「被災地の復旧・復興」に関しては、20年度までの10年の期間の「総仕上げ」として東日本大震災からの復興を着実に推進すると位置づけた。また「国民の安全・安心の確保」では、防災・減災対策、国土強靱化の取り組みを加速・深化するとし、水害、土砂災害、巨大地震などの対策推進を予算要求した。
 化学品物流にも関連する陸海上輸送や港湾機能強化に関する予算は「生産性と成長力の引上げの加速」のなかに盛り込まれた。「効率的な物流ネットワークの強化」で要求した5106億円のなかには、トラック輸送と空港・港湾などとの輸送モード間の接続(物流モーダルコネクト)の強化、1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能なダブル連結トラックによる省人化の推進、トラック隊列走行の実現も見据えた高速道路インフラの活用策の検討-が挙がっている。
 すでに国交省は、ダブル連結トラックの導入を「生産性革命プロジェクト」に位置づけ、今年1月に新東名高速道路を中心に本格導入を始めた。8月8日からは、その区間を東北から九州まで拡充している。さらに民間企業への設備導入経費の一部補助を、今回の概算要求に盛り込んだ。トラック運転手の省力化、輸送の効率化に向け、引き続き積極的に進めてほしい。
 海運分野では「国際コンテナ戦略港湾等の機能強化」の一環としてAIターミナルの実現を目指す。東京港などで課題となっている外来トレーラーのゲート前待機を、23年度中に、ほぼ解消することが目標だ。また国際基幹航路を運行する外貿コンテナ貨物定期船にかかる、とん税・特別とん税について特例措置創設を目指す。内航海運については、SOx規制対応も踏まえた取引環境改善・生産性向上に向けた施策で予算要求した。また税制改正要望では、海上運送業における船舶の買換特例措置の3年間延長を提出した。
 これら予算要求を実現し、わが国の経済成長、安全・安心の確保、国民生活の質の向上に確実に生かしてもらいたい。

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