専門商社各社の今年度上半期(4~9月)の業績は、前年同期に比べ減収減益という企業が多かった。要因に米中貿易摩擦にともなう中国の経済成長の減速を挙げた企業が多い。中国の経済成長率は6%というが、実態はもっと低いのではという声も多かった。他方、膨大な人口を抱えているのでポテンシャルは大きいという企業もある。とくに化粧品など高付加価値の最終商品を扱っている企業は、中国への輸出も悪くはなさそうだ。
 とはいえ米中貿易摩擦は簡単に収束しそうにない。来年の大統領選までは続くという見方もある。そうしたなかで生産拠点を中国から近隣の東南アジア諸国に移転させる動きが活発化してきた。「チャイナ・プラスワン」として中国以外にもう1拠点、東南アジア諸国に生産拠点を設ける企業はあったが、中国の環境規制強化に今回の経済成長減速が加わり、その流れを後押ししているようだ。
 他方、ASEAN(東南アジア諸国連合)では2015年末にASEAN経済共同体が発足した。域内の「ヒト・モノ・カネ」の行き来が自由になることにより、さらなる経済活性化が期待されている。ASEANは製造拠点としてだけではなく、6億5000万人以上を擁する巨大な消費市場としても、日本企業から注目を集めている。
 貿易統計によると今年度上半期の日本からアジア(インドを含む)への輸出は20兆4000億円、輸入は18兆4000億円に上る。日本経済にとって中国・ASEAN・インドは重要な貿易相手である。
 先ごろ日中韓など16カ国の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)閣僚会合が開催されたが、残念ながら年内の妥結を断念した。貿易赤字拡大を懸念するインドが関税撤廃などで慎重な姿勢を崩さなかった。インドはRCEP離脱を表明しているが、インドの離脱でRCEPの存在価値が低下するという意見は無視できない。
 専門商社の安藤パラケミーは先ごろ、炭素数14~17の中鎖塩素化パラフィンについてインド最大手メーカーと日本向け代理店契約を締結し、取り扱いを開始した。エア・ブラウンは中国調達の原料・化学品をインドの原薬メーカーへ供給し、インドで製造した原薬・中間体を日本へ供給するビジネスモデルを模索する。三洋貿易は、インド製の医農薬中間体などに強みを持つ子会社のアズロを活用し、既存の中国産を代替可能な製品を揃える。インドは重要な貿易相手国である。アジアの経済圏を安定化させるためにも、RCEP参加各国政府にはインドを取り込むよう努力して欲しい。

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