国土交通省が先ごろ、乗用車の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS=アドバンスト・エマージェンシー・ブレーキング・システム)の初の認定結果を公表した。この認定制度は、安全運転を支援する機能を備えた自動車の普及啓発方策の一環として昨年3月に創設され今回、国内8社から申請のあった67車種152型式が一定の性能を有していると認定された。併せて自動車メーカーなどが広報活動で活用できるロゴマークも作成。官民連携による衝突被害軽減ブレーキの普及促進が期待される。
 認定制度で対象となる自動車は、定員10人未満でメーカーなどから申請されたもの。①「静止している前方車両に対して50キロメートル/時で接近した際に衝突被害軽減ブレーキによる制動制御により衝突しない又は衝突時の速度が20キロメートル/時以下となること」②「20キロメートル/時で同一方向に走行する前方車両に対し、50キロメートル/時で接近した際に衝突被害軽減ブレーキによる制動制御により衝突しないこと」③「①および②の衝突被害軽減ブレーキによる制動制御の少なくとも0・8秒前までに、衝突のおそれがある前方車両の存在を運転者に知らせるための警報が作動することを実現していること」-を国が認定する。
 認定情報は国土交通省のホームページで公表するほか、自動車メーカーなどが衝突被害軽減ブレーキの普及促進のための広報活動で活用することが可能としている。また「AEBS」の語をあしらったロゴマークで一般消費者にも搭載車を識別しやすくし、普及を後押しする。
 わが国では65歳以上の総人口に占める割合は約4人に1人となっており、2036年には3人に1人となると推計されている。高齢の運転免許保有者も増加するとみられ、加齢による身体機能の低下が原因となった誤操作が招く交通事故のリスクは年々高まる傾向にある。75歳以上の運転者の死亡事故件数は、75歳未満に比べ2倍以上(免許人口10万人当たり)。そのなかで操作不適による事故のうち、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故は、75歳未満で全体の0・7%であるのに対し、75歳以上では5・9%と高い割合にあったとの調査結果も報告されている。
 高齢者にとって運転免許証の返上は生活圏を狭めることにもなる。先進技術の普及で乗用車の安全性を、より向上することは、人生100年時代を迎えた今、生活の質を確保するための重要な要素となっている。今回の取り組みは、自動運転の実用化に向けた各種先進安全技術の社会実装における一つのロールモデルとして注目される。

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