人口増加と経済発展が見込まれるアフリカは、これからの市場として幅広い産業が熱い視線を送っている。中国や東南アジア、インドと成長市場を捉えてきた各社は「最後のフロンティア」ともいえるアフリカ市場において、先行者利益をいち早く確保できる地位を築きたい考えだ。顧客密着型を志向するスペシャリティケミカルメーカーの動きも目立ってきた。
 なかでも関西ペイントの動向が際立つ。アフリカ大陸を南・東の両面から攻める戦略で、M&A(合併・買収)によって現地の有力メーカーを手中に収めてきた。このブランドを活用することで、製品の差別化が難しい建築塗料市場で攻勢を強めている。ウットラムグループとなって以降、”中国一本足打法”から脱却してグローバル展開を加速している日本ペイントホールディングスよりも、この地域では先行する。
 インキでは大手が揃ってアフリカ市場に攻勢を強めている。東洋インキSCホールディングスは今年6月、モロッコに販売拠点を設立。これまで近隣のグループ拠点が個別に事業を展開していたが、アフリカ大陸にグループとしてのブランド構築を急ぐ。商業印刷用インキ、食品パッケージ用リキッドインキ、接着剤、製缶塗料など幅広い製品で市場開拓を目指す。
 サカタインクスはナイジェリア、ケニア、エチオピア、ガーナの4カ国からアフリカ拠点を選択する検討を始めた。遠くない時期に拠点を設立したい考えだ。さまざまな課題もあり決定が伸びていたが、今がタイミングだと判断した。傘下のサンケミカルが以前からアフリカに進出していたDICは、インドに今春設立した販売会社を拠点にアフリカへのマーケティング・ビジネス活動を開始する。
 また接着剤メーカーのアルテコは、西アフリカを軸にアフリカ進出を検討している日本企業へのコンサルティング・貿易業務に乗り出す。同社は約6年前にガーナに接着剤の包装工場を設けた。アフリカに事業拠点を置く日系企業はまだ多くなく、さまざまな業種の日本企業からアフリカ進出に関する相談が寄せられているため、蓄積したノウハウを生かしていく。
 その多くが、かつて欧州諸国の植民地だったこともあり、これまでアフリカ展開は主に欧米企業が主役だった。だが成長が見込める新興地域のなかでも、中長期的な視点からポテンシャルのある未開の巨大市場に賭ける。ただアフリカならではの文化や風習、商習慣などの違いは大きい。顧客密着型のスペシャリティ企業が市場を切り開けるか。対応力が試される。

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