射出成形機を中心とするプラスチック加工機械の市場が失速している。2018年度の生産台数はリーマン・ショック後で最高だったが、19年度は一転してマイナスに落ち込む。メーカー各社には厳しい状況が続くが、こうした時期こそ、ハイエンド装置へのシフトを加速し、付加価値向上を図ってほしい。
 日本プラスチック機械工業会のまとめによると、18年度のプラ加工機械の生産台数は1万7011台(前年度比3%増)と伸びた。射出成形機の出荷は約7割が輸出向けと海外比率が高く、世界経済の動向をダイレクトに受ける傾向が強い。
 19年度は昨夏以降の米中貿易摩擦が激化し、新興国の設備投資が凍結ないし様子見状態となり、新規受注が失速する。また米国が中国製品に高い関税をかけ、中国からの対米輸出が事実上ストップ。日系各社は、中国内に持つ工場から、タイや日本国内へ生産移転を図るなど対応に追われた。足元では米中問題がくすぶり続け、企業は設備投資に慎重姿勢をみせる。これにより19年度のプラ加工機械の生産は9%程度の減少が予測され、好調だった射出成形機市場の潮目が変わった。
 しかし、こうした世界経済の変化は、新しいビジネスモデル構築に向けたチャンスではないか。もともと日本勢はハイエンド領域の射出成形機が得意。その強みを一段と進化させて汎用品の比率を下げ、高付加価値製品にシフトすることで世界と対峙すべきではないか。
 電子機器向けのプラ部品、スマートフォンなど携帯電話向け光学レンズ部品、自動車用ハーネス部品などの射出成形で、すでに日系各社は高機能な小型機を有する。またスペース効率に優れる竪型機、2材を同時に成形できる2色成形機、自動車向け内装材・外装材など大型機など、ハイエンド領域の独自製品で存在感をみせてきた。
 米国の調査会社によると世界のプラ加工機械の市場規模は約3兆9000億円と見込まれ、年率で4%程度の成長で推移するとみている。射出成形機の世界トップスリーをみるとエンゲル、クラウスマッファイ、海天インターナショナル(中国)と欧米・中国勢が占める。その後に住友重機械工業、東芝機械、日本製鋼所、宇部興産機械、日精樹脂工業などが続く。売り上げ規模では海外勢が強い。日系各社は事業規模が小さく、これを覆すことは難しい。
 しかし機能性の高いプラ部品を製造できることが日本勢の強み。市場が縮小しても、高価格帯の装置にシフトすることで勝ち残る、強固な事業体質を実現してほしい。

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