企業の業績に不透明感が広がっている。米中貿易摩擦による影響拡大が懸念されるなか、中国経済の減速やスマートフォン市場の低迷が表面化。原燃料価格の上昇も影響し、化学企業の直近の決算発表をみても減益を余儀なくされているところが多い。収益性の高い付加価値製品を手掛けるファイン・スペシャリティ系の企業にも影響が及んでおり、状況を慎重に見極める必要がある。
 化学企業は前3月期まで為替の円安傾向や原燃料安、製品市況の改善などから大手を中心に高収益を謳歌した。ただ2018年度に入ってからは、原燃料価格の上昇や為替の円高が各社の収益圧迫要因となっている。米中貿易摩擦の収束が見通せないなかで、牽引してきたスマートフォンの販売も中国における在庫調整などを背景に陰りがみえている状況だ。
 またIoT(モノのインターネット)の進展などを背景に需要の底堅さをみせていた半導体分野も踊り場が指摘される。半導体向けフォトレジストでは、旧世代のg線、i線レジスト材料の需要拡大に寄与してきたIoT関連需要が少しスローダウンしてきたと指摘される一方、「先端系の材料はいぜんとしてタイト感がある」(レジスト材料メーカー)状況といわれ、顧客によって状況はまちまちの部分が多いようだ。一部のエレクトロニクス関連は年後半からの需要減退を感じている企業が少なくない。業績予想を下方修正する企業も相次いでおり、予断を許さない状況にある。
 4~12月期決算を発表した企業のなかで、原材料高騰分の価格転嫁が進んだところは数字的にも良い内容を示している。ただ価格修正が遅れるなかでの原油価格などの軟化は、適正価格への是正の足を引っ張りかねない。また中国、米国に生産拠点を持ち、それぞれ同国内で消費し切っている製品は貿易摩擦の影響は被らないものの、中国の消費低迷といった動きは業績に影響を及ぼす。
 各社の決算内容をみても、減益を強いられるなかにあって高付加価値品を手掛ける事業の収益は堅調だ。ただスマホ向けなど、牽引してきた製品は不透明感が増す。これがファイン・スペシャリティ系企業の決算数字にも表われてきた。
 今年は様子見状態が続くとみる企業は多い。ただ、こういう時期にあっても、さらなる経営基盤の強化や技術・製品の高付加価値化、さらに市場を先取りした技術開発を追求し続けることが重要だ。市場動向を見極めながら、見通しがついた段階でスタートダッシュが切れる態勢を整えておくべきである。

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