米中貿易摩擦や日韓の通商課題、朝鮮半島情勢や英国のEU離脱の動きなど、引き続き予断を許さない状況が続いている。その半面、日経平均株価の段階的な伸長や、トヨタ自動車を中心に中国・アジアでの自動車関連の好調が伝えられるなど、世界・地域経済は明暗が入り交じった状況にある。そうしたなか名古屋市において「名古屋を周辺アジアや地域経済圏の開かれた経済ハブへ」との理念の下に「グレーター・ナゴヤフォーラム」が開かれた。
 グレーター・ナゴヤは名古屋市を中心とした半径100キロメートルのエリア(愛知県、岐阜県、三重県)と定義されている。地域の経済交流拡大と諸外国からの投資誘致、技術交流と国際化推進を目指す目的で2006年、活動母体の「グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会」が創設され、愛知県を筆頭にジェトロ(日本貿易振興機構)、経済産業省も参画している。
 同協議会主催で先日開催されたフォーラムには、中部地域に拠点があったり、同地域でビジネス拡大を目指す米国、中国、スイス、ドイツなどの諸外国企業、これに日系企業を加えた250名前後が参集した。会場となった名古屋マリオットアソシアホテルのタワーズボールルームはほぼ満席だった。
 特筆すべきは、冒頭のトップセールスのあいさつに登壇した大村秀章愛知県知事をはじめ、司会者や講演者が、すべて英語で話したこと。大村知事の後、講演したトヨタ自動車の山戸昌子環境部部長も、同社の環境チャレンジの取り組みを英語でパワーポイントファイルを使いながら説明した。
 さまざまな学会や一部の大学主催イベント、特定企業や団体などの催しで時々、共通言語として英語が採用される。ただ愛知県という日本の自治体が絡んだ大きなイベントにおいて英語を使ったことは、大いに評価に値するのではないか。
 愛知県には、トヨタ自動車を筆頭に航空宇宙分野や精密金属加工など日本を代表する産業が厚く集積し、40年以上も工業生産出荷額で日本一を維持している。またノーベル賞受賞者を抱える大学も多く、グレーター・ナゴヤフォーラムでも「知の集積で日本国内でも大変に注目される地域」(インド系企業の幹部)として知られる。
 フォーラムでは「講演も英語なため、よく理解できた」(中国からの参加者)との声を聞いた。「英語が良い・悪い」ではなく、国際交流の催しでは使用言語を選ぶべき。今回のフォーラムの姿勢は参加国に好感を持たれたに相違なく、それが成功の要因の一つであろう。

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