近年、異常気象や自然災害が多発し、日本各地に大きな被害をもたらしている。暮らしを支える電気、ガス、水道、下水など社会インフラへの影響が大きいが、企業業績を大きく左右する重大な問題ともなっており、事業継続計画(BCP)を策定するところが増えている。
 内閣府が2017年度実施した「企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」によると、BCPを策定ずみの企業の割合は大企業が全体の6割強、中堅企業(資本金10億円未満)は3割強と、10年前に比べて大幅に増加している。業種別では電気・ガス・熱供給業・水道業(67・3%)が最も高く、製造業(45%)は4番目だ。策定の理由は「近年多発する自然災害への備え」が多く、自発的に策定する傾向がうかがえる。
 昨年の西日本豪雨の記憶はまだ新しい。テレビや新聞では各地の被害の様子が報道された。一方で企業にも大きな爪痕を残し、工場に大量の雨水が流れ込んだ結果、排水処理が間に合わず、数日間の操業停止を余儀なくされることも多かった。
 また地震や津波、洪水を想定したBCPを策定ずみの企業でも、当初から水害が起こる可能性の高い事業所のみ対象としていたケースがある。被害に遭った工場は想定外だったため止水板なども設置されておらず、長期間操業を停止せざるを得なかったようだ。
 石油化学コンビナートは、一つの製品の生産が止まるとコンビナート全体に影響が及ぶ。ひとたびプラントが停止すれば装置内で反応物が固まり、これを除去して運転を再開するには数日を要する。その間の機会損失は数億円から数十億円規模になることもある。
 内閣府の調査では、被害後の新たな取り組みとして、大企業ではBCPの策定や見直しを行うところが3割弱を占めた。やはりBCPを策定した後、定期的に見直し、備えを万全にしておくことが求められる。
 一方で計画すればするほど脆弱になるという面もある。被害が発生した後、いかに早く復旧するかという観点に立った考え方として、取材で「ブリコラージュ」という言葉を学んだ。与えられた条件の中で、あり合わせの手段・道具を用い、その場に適切なものを作って対処するというもので「人間が本来持っている知恵や工夫を最大限に引き出せる環境を整備することが重要」だという。
 今年も夏に向けては自然災害の発生が懸念されるが、備えを万全にするとともに正確に状況を把握し、早期復旧へ自らの能力を最大限に発揮できるようにしておきたい。

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