自動車産業での合従連衡が活発だ。海外ではフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とプジョーやシトロエンを傘下に持つ仏グループPSAが対等合併を発表。実現すれば独フォルクスワーゲン、日産三菱・仏ルノー連合、トヨタ自動車に次ぐ世界4位の自動車メーカーが誕生する。一方、国内では日立製作所とホンダが系列の部品4社を統合することで合意。日立オートモーティブシステムズを最終的な吸収合併存続会社にケーヒン、ショーワ、日信工業を合併させるもので売上高1・7兆円と、デンソー、アイシン精機に次ぐ事業規模の確保を目指す。
 自動車産業で加速度を増す再編の動きは、グローバル化により統合された世界市場において市場シェアや拠点展開といった事業スケールと、EV化や自動運転、コネクテッドといった次世代技術での覇権争いで優位性を確保するのが目的。その取り組みは保有技術・製品の付加価値向上にとどまらず、IoTやAIといった先端技術を取り込みながら新たなビジネスモデル創出へとつながっている。
 日立とホンダの部品4社の合併会社は、ケーヒンのパワートレイン事業、ショーワのサスペンション事業およびステアリング事業、日信工業のブレーキシステム事業と、日立オートモーティブシステムズのパワートレイン、シャシー、安全の各システムを融合することで、内燃機関/電動パワートレイン、先進シャシー、自動運転/先進運転支援システム分野における技術開発に向けたシナジーの最大化を目指す。加えてコネクテッド領域を主にした強力なエコシステムの構築を視野に入れる。
 すでに国内の自動車業界ではトヨタ、日産を軸にグループ化が進展している。また、自動車部品業界では仏フォルシアによるクラリオンの買収ほか、今年5月には持ち株会社の下で、カルソニックカンセイ(現マレリ)がFCA傘下の自動車部品メーカーであるマニエッティ・マレリと統合するなど国境を越えた再編が進んでいる。
 事業環境の変化に対応した動きは自動車産業だけにとどまらない。すでに国内では素材産業でも鉄鋼業界で2012年に新日鉄と住友金属が、アルミ業界では13年に住友軽金属と古河スカイが合併。足元でも日本製鉄による日新製鋼の吸収合併や山陽特殊鋼の子会社化といった集約が進むほか、伸銅業界では来年春にコベルコマテリアル銅管と古河電工の銅管・銅板事業の統合される予定だ。こうした時代のうねりが産業構造をどのように変えていくのか、今後の動向が注目される。

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