「日本市場の優先度がやや低い」-。在日ドイツ商工会議所がまとめたレポート「日本におけるドイツビジネス2019」にあった一文だ。調査対象の在日ドイツ企業の16%が「日本法人の売上高がグループ全体の10%以上を占める」と回答した一方で、40%は「2%以下」と答えたことから「優先度がやや低い」と結論付けた。
 日本における事業規模は、それほど大きくないが、日本の顧客とのビジネスで得た売上高が「グループ全体の10%以上を占めた」企業は、前回調査の14%から22%に増えている。46%の企業が、日本以外の市場で日本の顧客とのビジネスで計上した売上高が「日本国内における売上高と同等もしくは、それ以上に達している」という。
 また69%の企業が「第三国で日本企業とのプロジェクトあるいは事業活動に参加したことがある」または「現在参加している」と回答しており、ドイツ企業にとって日本企業との関係が引き続き重要であると分かる。
 世界市場において日本の存在は、まだ捨てたものではないのだろうか。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界競争力ランキング2019」で気になる結果が目に付いた。日本が5位に入った世界経済フォーラムの世界競争力ランキング(2018年発表)と異なり、日本を前年の25位から30位に下げたのである。アジアでは、1位がシンガポール、2位が香港、14位中国、16位台湾、22位マレーシア、25位タイと続き、28位の韓国にも及ばない。インドネシアが43位から32位に浮上、日本に肉薄した。
 日本のランキングには経済情勢、政府の債務、事業環境の弱まりなどがマイナス材料になった。日本におけるドイツビジネス2019でも「向こう12カ月で日本の景気が多少あるいは大幅に好転する」と考えている在日ドイツ企業は、前回調査に比べて20ポイント以上減り、30%にとどまった。注目したいのは38%の企業が「向こう12カ月の間に日本の景気が後退する」と予想していることだ。前回調査に比べて30ポイント増えており、懸念が深まっていると判断できる。
 政府は5月の月例経済報告で全体判断を下方修正したものの「緩やかに回復」との判断を維持した。6月も「緩やかに回復している」を据え置いた。この判断は国民の意識だけでなく、企業の意識や研究所の調査結果と隔たりがあると思える。経済の先行きは国民生活や企業活動だけでなく、これからのわが国の存在感をも左右する。政府は的確な判断と対策を通じ、日本の存在感が高まるようにしてほしいものだ。

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