ミリ波レーダーの普及が進展する見通しだ。ADAS(先進運転支援システム)を中心に車載分野での利用が増加しているが、今後は工場や医療・介護などをはじめとする産業および民生まで用途が広がることが予測されている。
 ミリ波レーダーは、距離と角度、相対速度を測定可能な高精度センサー。①直進性が強く、大気や壁による減衰が大きいこと②回路およびアンテナ設計の小型化が可能なこと③高帯域幅を使用して高距離分解能、高角度分解能を実現できること-を特徴としている。さらに車載カメラやレーザーレーダーといった他の方式に比べ、霧や雨など環境変化による影響を受けにくいのもメリットとなる。
 富士キメラ総研は自動運転・AI(人工知能)カーの世界市場調査においてミリ波レーダーを注目製品の一つと位置づけ、大幅な成長を予測している。76~79ギガヘルツ帯および24ギガヘルツ帯を対象とするミリ波レーダーの2040年の世界販売個数は17年比6・9倍の3億1465万個、金額ベースで同6・1倍の2兆2491億円に達すると見込んでいる。
 現在主力である24ギガヘルツ帯のミリ波レーダーは20年代以降、EU(欧州連合)をはじめとした各国で法制度によって使用が制限され、距離分解能を高めた79ギガヘルツ帯のミリ波レーダーに置き換わることが確実。一方の76~79ギガヘルツ帯のミリ波レーダーは前方検知用途で需要が増加しており、今後は周辺探知でも使用される。このため富士キメラ総研の調査でも数量、金額ベースとも市場拡大が見込まれている。
 ミリ波レーダーの普及は、この調査で示されるように車載用が中心だったが、今後は他分野にも活用範囲が広がると予測されている。米国など海外では79ギガヘルツ帯が車載専用の帯域と定義されているケースが多いが、日本国内でも今後の動向次第で79ギガヘルツ帯が車載専用となることもあり得るため、車載以外でも使用できる60ギガヘルツ帯の普及が見込まれている。
 現在、60ギガヘルツ帯は60~61ギガヘルツで、利用できる周波数帯が1ギガヘルツしかないが、これを7ギガヘルツへと広げて57~64ギガヘルツとする検討が進められており、近く具体的な方向が固まるという。
 これが実現すれば、より高精度なレーダーが可能となり、ミリ波レーダーを応用した新たなアプリケーションが活用されることになるだろう。例えば工場を監視するFA用途や、病院や介護施設での見守りなど利用範囲はさまざま。これらの普及が働き方改革の進展や、われわれの生活環境向上に貢献することを期待したい。

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