東南アジア各国の政府が、相次いで使い捨てプラスチックの使用禁止を打ち出している。マレーシアは2030年、タイは27年までにそれぞれ禁止する方針で、ベトナムは25年を期限に検討を進めている。実現性に疑問符はつくが、各国政府が廃プラ問題を喫緊の課題と捉えはじめた。世界第2位の海洋プラ排出国とされるインドネシアの観光地バリ島では今年6月、リサイクル業者などの反対を押し切り、使い捨てプラの使用が禁じられた。
 15年に海洋プラに関する統計を発表し世界的な注目を浴びた米ジョージア大学のジェナ・ジャンベック准教授と世界銀行によると、海洋プラの排出が多い20カ国には、インドネシアやフィリピンなど東南アジア5カ国が含まれる。
 16年以降、中国が輸入を禁じた余波で廃プラが東南アジアに流入し注目を浴びたが、同地域には長らく欧州をはじめ先進国が排出する廃プラを受け入れてきた歴史がある。中国とともに世界の廃プラ処理を肩代わりしてきたといえる。輸入品は分別が不十分で再生に適さないものも多く、それが環境中に排出され社会問題となった面もある。
 廃プラ問題が、まず人々の意識と振る舞いに端を発することは論をまたない。ただ多くの使用済みプラが適切に処理されず環境中に滞留していることも事実。ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムによると、海洋プラの9割は10の河川から流れ込んでおり、うち8つがアジアにある(長江、インダス川、黄河、海河、ガンジス川、珠江、アムール川、メコン川)。
 東南アジアでは今年から23年にかけて大型の石油化学コンビナートが相次いで立ち上がり、欧米ポリオレフィン大手は包材用樹脂の一大市場とみて販売担当者を増やしているが、域内での化学産業の持続的発展には産官学一体の廃プラ対策が不可欠だ。
 プラスチックは生鮮食品の効率的で安全な店頭販売や物流の省エネを実現するなど、人々の生活水準向上に大きく貢献してきた。経済発展とともに東南アジアはまさにいま、こうしたメリットを享受し始めている。
 同地域は日本の化学メーカーにとって重要な生産拠点であり市場でもある。プラスチックが持つ機能を社会的に正しく評価してもらい、次世代を担う若者に化学品に対する適切な意識・振る舞いを備えてもらうため、東南アジアで例えば日系化学企業が共同で、日本で開催しているような子供向け教育プログラムを展開できないだろうか。日本の文化への関心が高まる、いまが好機だ。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

社説の最新記事もっと見る