総合商社が合成樹脂事業の高付加価値化、機能強化に向けてプラスチックリサイクルへの取り組みを加速している。
 豊田通商はヴェオリア・ジャパン、小島産業と組んで昨年12月にプラスチックリサイクル製造事業会社プラニックを設立した。60億円を投じて静岡県御前崎市に工場を建設し、2021年3月の稼働を予定している。ピーク時に廃プラスチック4万トンを回収し、自動車や家電部品向け原料としてポリプロピレンコンパウンドを年間2・5万トン供給する計画だ。原料として使用ずみ自動車から発生するASR(破砕残さ)由来ミックスプラスチックなどを回収。稼働すれば、複数の市場回収材を利用した国内最大級のリサイクル拠点となる見込み。
 丸紅は、7月に中部日本プラスチック(静岡県浜松市)と組み、国内でプラスチックリサイクルに本格参入した。顧客の不良品や端材などを買い取り、再生樹脂にして返却したり、外販する。同社はドイツに昨年設立した機能性コンパウンド製造拠点「MTC」で、エンプラのリサイクルコンパウンド事業をスタートさせた。来年には北米でも同事業を手がける予定だ。
 伊藤忠商事は、9月に新たなリサイクルの仕組みを創出する米企業テラサイクルと資本・業務提携を締結した。同社はブランドオーナーと協働で、使用ずみのパッケージなどリサイクルが難しいさまざまな廃棄物を回収して再商品化・アップサイクルするビジネスを21カ国で展開している。テラサイクル自体はリサイクルプログラムを開発・提案するコンサル業務が中心で実務は各業者に委託する。伊藤忠はブランドオーナーヘのリサイクルプログラム提案を支援するとともに、実務を担う委託先をコーディネートしていく。
 総合商社がプラスチックリサイクルに力を注ぐのは、廃棄プラスチック問題、海洋プラスチック問題が契機となって、海外を中心に取引先が環境対応の取り組みを積極的に推進しているかどうかを評価し始めるようになったことが大きい。再生樹脂自体のニーズも増えていることも理由に挙げられる。
 そればかりか総合商社はリサイクルコンパウンドやリサイクルプログラムをツールに、環境対応を急ぐブランドオーナーから直接ニーズを把握できるような関係を構築し、従来の単純なトレードではなく、製品開発まで支援できるビジネスを構築しようとしている。廃プラ問題という逆境をチャンスととらえ、合成樹脂事業のビジネスモデル(=稼ぐ仕組み)を変革しようとする柔軟性こそが総合商社の強さの源泉といえるだろう。

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