九州大学と東京海洋大学、寒地土木研究所の共同研究チームは、プラスチックごみの海洋流出がこのまま増え続けた場合、太平洋上のマイクロプラスチックの浮遊量は2030年までに現在の約2倍に、60年までには約4倍になるとするシミュレーション結果を公表した。海洋プラスチック問題への対応は急務であり、民間の活力によって解決に導いてほしい。
 先月28日に開会した通常国会の施政方針演説で安倍首相は、プラスチックによる海洋汚染問題を取り上げ「生態系への大きな脅威となっている。美しい海を次の世代に引き渡していくため、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指し、ごみの適切な回収・処分、海で分解される新素材の開発など世界の国々とともに海洋プラスチックごみ対策に取り組んでいく」と意欲を示した。
 政府は海洋プラスチック問題への対応として18年度中に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、G20で表明。高い目標を掲げて国際的な取り組みをリードする方針だ。18年11月に示した最終案には「30年までにプラスチック製容器包装の6割をリサイクルまたはリユースし、かつ、18年までにすべての使用済プラスチックを熱回収も含め100%有効利用する」など野心的な数値目標を盛り込んだ。
 こうしたなかで先月17日、海洋プラスチックごみ問題に取り組む官民連携組織「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」(CLOMA)が設立された。従来の枠組みを超えプラスチックの生産から加工、利用にいたるサプライチェーン(SC)を構成する企業が参加した。連携を強め、世界的な課題の解決に向けてイノベーションを加速する。設立時の会員数は159社・団体を数え、さらなる増加が予想されている。
 翌週23日には環境省が「プラスチック・スマート」フォーラムを立ち上げた。海洋プラスチックごみの削減に取り組むさまざまな団体に交流の場を提供するもので、すでに約50団体が参加を表明。問題解決に向けた社会的機運が高まっている。
 最も大切なことは、プラスチック廃棄物を河川に流出させないこと。日本の17年の廃プラスチックの有効利用率は2ポイント増の86%だった。PETボトルではPETボトルリサイクル推進協議会が、食品などのプラスチック包装ではプラスチック容器包装リサイクル推進協議会が、06年度から自主行動計画の下、リサイクル、リデュースに取り組み、成果を挙げてきた実績がある。環境問題の解決は国の政策だけでは足りない。民間の活力がカギとなる。

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