CO2フリーアンモニアのバリューチェーン構築を目指すグリーンアンモニアコンソーシアム(GCA)が、化学、プラントエンジニアリング、電力、ガス、商社、建設などの国内企業51社、加えて海外エネルギー企業や国内研究者などの参加も得て7月1日に設立総会を開催した。利用時にCO2を排出しない水素エネルギーの社会実装に向けて、エネルギー多消費産業である化学業界がどのような貢献ができるのか、議論が深まることを期待したい。
 水素キャリアである液化水素とメチルシクロヘキサン(MCH)の大規模サプライチェーン実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトが実施中で、2020年度末までに成果が得られる見通しにある。一方、アンモニアは第3のキャリアとして製造、輸送・貯蔵、利用技術の開発が進められており、すでにサプライチェーンが確立している化学製品であることもあって、GCAには個人も含め70を超える会員が参加した。
 これまで水素エネルギーに対して積極的な態度を示してこなかった東京電力をはじめ電力各社が参加していることで、水素発電の実現への取り組みに弾みがつきそうだ。水素発電は、水素を最も大量に消費する用途であり、水素サプライチェーンのコストの大幅な低減が期待できよう。水素混焼発電および専焼発電に関する技術開発は日本がリードしている分野だ。
 GCAの会長に住友化学の石飛修相談役が就任するなど、複数の化学会社が参加していることにも注目したい。化学品としてアンモニアの取り扱いに慣れており、知見を有している化学企業は多いが電力会社同様、水素エネルギーに対して高い関心を示していたのは昭和電工程度にとどまっていた。
 しかし水素やアンモニアは化学原料として用途があり、大量消費に貢献することができる。また石化コンビナート内のエネルギー利用は、すでに高度に効率化されてはいるが、それでもなお脱水素に必要な熱源を供給できる可能性がある。海外からのアンモニアなどの水素キャリアの輸入基地としての役割もできそうだ。
 化学産業は鉄鋼業と同様、化石燃料の利用なくして成立しないが、CO2の排出削減に貢献する役割も担う。政府の地球温暖化対策計画に示された「50年に温室効果ガス80%削減」という長期目標は、あらゆる政策手段の投入なくしては達成できない。なかでも大きな位置を占めるのが水素エネルギー。化学産業は、その社会実装に貢献する道を積極的に探ってほしい。

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