大崎クールジェン(中国電力とJパワーが出資)が進めている世界初の石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)が国際的に注目を集めている。近年、CO2排出量が多い石炭火力には逆風が吹いている。しかしながら大崎クールジェンの実証プラントにはインドネシア、タイ、台湾など新興国から多くの見学者が訪れており、関心の高さがうかがえる。早期の実用化を期待したい。
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は今年度から、大崎クールジェンの最終ステージとして、CO2分離・回収型石炭ガス化複合発電(CO2分離・回収型IGCC)設備に燃料電池を組み込んだCO2分離・回収型IGFCの実証事業に着手する。従来型の蒸気タービンで発電する超々臨界圧発電に比べ、CO2排出量を約30%低減できるという。
 パリ協定により地球温暖化対策が急務となるなか、石炭火力に対する批判が近年、急速に高まっている。世界的にCO2排出を抑制するこうした動きは当然であり、各国は基本的に協力すべきといえる。その半面、原油や天然ガスなど産出国が一部地域に偏在している資源は、各国のエネルギー安全保障上、問題があることも事実だ。
 これに対し低コストで資源分布が比較的、分散している石炭は、今後も重要なエネルギーであると予想される。わが国の第5次エネルギー基本計画(2018年7月閣議決定)では、30年度に石炭火力は26%(13年度は30%)と想定している。石炭火力の高効率化とCO2大幅削減の両立が不可欠といえる。
 大崎クールジェンでは、ガスタービン発電および蒸気タービン発電による石炭ガス化複合発電(IGCC)とCO2分離・回収技術を組み合わせた革新的な低炭素石炭火力発電の実用化に取り組んできた。プロジェクトは12年度からスタートし、第1段階の酸素吹IGCC実証、第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証と進んできた。今回、究極の目標である第3段階のCO2分離・回収型IGFC実証に入る。22年度までの予定で、石炭ガス化ガスの燃料電池への適用性を確認し、最適なシステムの実現を図る。500メガワット級の商業機に適用すれば、CO2回収90%で47%程度の送電端効率が目標だ。
 国内では、既存設備の更新などを捉えて実用化される見通しだ。また海外では、電力不足が深刻な新興国で導入が進むと予測される。すでに東南アジアなどの電力事業関係者が熱い眼差しを注いでいる。地球温暖化対策と経済性を両立できる技術として実用化を期待したい。

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